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整形外科
手外科・末梢神経外科
(担当:島貫 景都/菅沼 省吾 医師)
「手外科」とは、肘から指先の病気やけがを扱う整形外科の一分野です。欧米では整形外科とは別に、手外科(Hand Surgery) が独立した診療科として存在する地域もあります。というのも、肘から指先には骨、靭帯、腱、神経、血管といった重要な組織が凝縮されており、非常に高度な診療技術が必要となるからです。当院は北陸地方では数少ない日本手外科学会認定研修施設に指定されており、年間約350件の手外科・末梢神経外科関連の手術を行っています。なお、当科では先天異常や野球肘などのスポーツ障害の手術は行っていません。あらかじめご了承下さい。
1. 絞扼性神経障害
手のしびれを引き起こす代表的な病態として、「手根管症候群」や「肘部管症候群」などの絞扼性神経障害が挙げられます。親指から薬指がしびれる場合は前者、小指と薬指がしびれる場合は後者の可能性があります。軽症であれば保存療法が可能ですが、強いしびれや筋力低下を自覚する場合は手術療法を行います。特に肘部管症候群は進行性の病態であるため、軽い感覚障害の場合を除き、原則として手術療法が必要とされています。
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用)
2. 手指の変形性関節症
「変形性関節症」は、関節軟骨が摩耗して最終的に関節の痛みや変形に至る病態です。指のどの関節にも起こる可能性がありますが、指の第1関節に起こる場合を「へバーデン結節」、第2関節に起こる場合を「ブシャール結節」、親指のつけ根にあるCM関節に起こる場合を「母指CM関節症」と呼びます。特に親指は他の指と共同して「つまみ」の動作を行う大切な指ですので、母指CM関節症は日常生活に支障をきたしやすくなります。いずれも軽症であれば保存療法が可能ですが、強い痛みや変形がある場合は手術療法を行います。
3. 関節リウマチ
関節リウマチが進行すると手指や手首、肘の痛みや変形を生じ、上肢の機能が障害されます。当科では、痛みや変形および機能障害の種類や程度に応じて、様々な機能再建のための手術を行っています。
4. デュピュイトラン拘縮
「デュピュイトラン拘縮」は、手のひらから指にかけてしこりができ皮膚がひきつれて徐々に伸ばしにくくなる病態です。原因は不明ですが北欧人に多く、別名”Viking disease”と呼ばれています。日常生活に支障があれば治療が必要になりますが、国内での注射製剤の販売終了に伴い、現在は手術療法が唯一の治療手段となっています。
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用)
5. 肘関節疾患
「変形性肘関節症」や「上腕骨内・外側上顆炎」といった肘関節疾患も手外科医の守備範囲になります。当科では、肘関節疾患に対しても痛みや変形および機能障害の種類や程度に応じて、様々な手術を行っています。
6. 末梢神経障害
当科では、1のような上肢の絞扼性神経障害以外にも「前・後骨間神経麻痺」や「腓骨神経麻痺」、「足根管症候群」といった様々な末梢神経障害に対して、症状に応じて様々な治療を行っています。
7. マイクロサージャリー
手外科医の技術が最も発揮されるのは、主にけがによりマイクロサージャリーが必要とされる場面です。神経や血管の損傷はもちろんのこと、軟部組織欠損に対する組織移植に際してもその技術が駆使されます。この際、手術用顕微鏡を用いて直径0.5~数mmの血管を縫い合わせる必要がありますが、この技術の習得には長年の修練が必要です。