診療科・部門・センター
小児外科

小児外科の紹介

小児外科は、小児期(0歳~15歳)に手術治療が必要となるさまざまな病気やけがの診療を担当しています。

当院は、石川県の小児医療の中核病院として、未熟児・新生児の診療、様々な先天性疾患、小児期の感染症、小児がんなどの腫瘍性病変、外傷など、救急診療を含む高度な医療の提供に取り組んできました。私たちは、小児外科医の立場から、これらの病気に対応するため、新生児外科、小児消化器外科、小児頭頸部外科、小児呼吸器外科、小児固形腫瘍、小児泌尿器外科、小児期の外傷など、小児手術の専門治療を患者さんに適確に提供するため鍛錬を重ね取り組んでいます。

近年の多様化かつ高度化の著しい小児医療の場において、関係する診療各科との密接な連携のもと、お子さまの一日も早い回復と健やかな成長を願いながら、小児外科疾患の正しい診断と適切な治療を実施するように努めます。

診療内容・特徴

当科における小児外科領域の手術件数(全身麻酔下手術)は年間480~500例で、頭頸部、胸部、腹部、腎・泌尿器などのさまざまな病気に関する外科的治療を施行しています。また、石川県唯一の総合周産期母子医療センターとして、NICUなどの診療を小児外科医の立場から担当しており、小児科(小児内科・新生児科)、産婦人科、麻酔科、心臓血管外科など関係する各診療科との連携のもと、高度に整備された設備と修練を積んだスタッフとともに小児総合医療センターとしての機能を充分に果たせるよう努めています。

私たちは、小児の鼠径ヘルニアや急性虫垂炎といった日常的な疾患の治療を安全・確実に実施するとともに、食道~大腸・肛門にいたる小児消化器外科手術では、専門性の高い難治疾患への手術も手がけてきました。特に、ヒルシュスプルング病や直腸肛門奇形(鎖肛)、胆道閉鎖症や胆道拡張症など、消化管の先天奇形や発達障害に起因するさまざまな難疾患の手術治療では、多数の手術症例を積み重ねてきました。また、漏斗胸や肺嚢胞性疾患、食道閉鎖症などの胸部疾患、膀胱尿管逆流症や水腎症、尿道下裂などの腎・泌尿器系疾患の手術について専門的技術レベルをしっかりと堅持しながら手術治療を実施しています。

当院は、金沢大学医学部・大学院大学の主たる臨床研修病院であり、また、日本外科学会・日本小児外科学会の専門医制度認定施設に認定されています。このため、毎年多数の医学部教育実習生を受け入れるとともに、厚生労働省の定める臨床研修医制度の下で、初期臨床研修医および後期研修医の修練の場として、多数例の臨床経験の研鑽のみならず患児やご家族とともに厳しい治療を乗り越え克服する過程の中から、優秀な後進の小児外科医を育成する機能も期待されています。

子どもたちは、心身共に急成長を遂げる大切な時期にあります。私たちは、入院治療や手術に際して、お子さまの成長発達に最大限の配慮を行い、退院後の生活をより豊かなものとするため、身体と心にとって可能な限り低侵襲な手術治療を目指しています。

石川県立中央病院総合母子医療センター小児外科の特徴

高度に整備されたNICUと豊富な新生児外科手術経験

当院の新生児集中治療室(NICU)は、高度な医療を必要とする低出生体重児や新生児に対し、産科・小児科系の各医療機関と連携して一貫した高度専門医療を行なってきました。当施設は、石川県内唯一の総合周産期母子医療センターとして機能しており、ドクターカーやドクターヘリを駆使して新生児の救急搬送に万全を期するとともに、産婦人科・新生児科・小児外科・麻酔科の専門医が密接に連携して、適切な母体・胎児管理から出産後の新生児治療や手術が必要な先天性疾患などにも対応しています。これまで、先天性横隔膜ヘルニア、先天性食道閉鎖症、臍帯ヘルニア、胎便性腹膜炎、先天性小腸閉鎖症など多くの新生児外科手術を施行し、良好な手術成績を収めてきました。

救命救急センターと連携した小児救急医療

当院救急外来(救命救急センター)では、365日24時間体制で小児を含む救急患者を受け入れており、救命救急科の医師が初期対応するとともに、小児系の救急担当医(小児内科・小児外科)が迅速に対応しています。小児の交通事故や熱傷などの受け入れに関しても、適確な初期治療を開始するとともに、専門各科との協力体制のもとで連携しながら、迅速かつ適切な救急治療に取り組んでいます。

小児外科疾患における内視鏡外科手術の推進

腹腔鏡や胸腔鏡と呼ばれる医療用の細径カメラ(3mm径、5mm径)を身体内に挿入し、高精細受像機(モニター)に画像を映し出して手術を行う内視鏡外科手術は、術創部の痛みが少ないとともに、手術後の回復が迅速で早期に退院できる、手術創痕が小さくなるなど、手術を受ける方々にとって多くの利点があります。私たちは、お子さまの手術にいち早くこの方法を取り入れて多数の手術を行ってきました。手術の創部は、およそ3mm~5mmの長さで、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた内視鏡外科手術は、小児鼠径ヘルニア、急性虫垂炎、漏斗胸、胃食道逆流症、乳児肥厚性幽門狭窄症、ヒルシュスプルング病、鎖肛(直腸肛門奇形)など、多様な手術に導入しています。

小児外科疾患に対する安全で高度な手術治療の実践

当施設は、日本小児外科学会の専門医制度における認定施設として、小児の頸部、胸部、腹部手術では、多くの病気に対する基本に忠実で安全な標準的手術を心がけて実施しています。また、小児がんなど、手術のみならず化学療法(抗がん剤)や放射線療法などが重要な役割を果たす集学的治療が必要となる小児期の病気に関しても専門的治療の経験を積み重ねており、各分野の専門医師で結成された医療チームにおいて、主導的役割を担い治療に取り組んでいます。また、定期的な診療カンファランスを通して、お子さま一人一人に最も適切な治療法を検討した上で診療にあたっています。

障がい児の方に対する外科治療の取り組み

当科では、障がい児の方々の生活の質(QOL)を高め、また、日々のご家族の介護負担を軽減するためにも、小児外科医の立場からお子さまに出来ることを熟慮し、心の通うケア・診療を目指して外科治療を行っています。また、お子さまの発達状況に対応した適切な診療に努め、栄養状態や全身状態の安定・成長のために役立つさまざまな手術(胃瘻造設術、胃食道逆流症防止術、気管切開術、喉頭気管分離手術など)を実施しています。

医師紹介

科長・部長
下竹 孝志(しもたけ たかし)
資格・所属学会等
日本小児外科学会 指導医・専門医
日本外科学会 指導医・専門医
部長
岩出 珠幾(いわで たまき)
資格・所属学会等
日本外科学会 指導医・専門医
日本小児外科学会 評議員・指導医・専門医
日本小児救急医学会 代議員・SIメンバー
Member of Pacific Association of Pediatric Surgeons
Member of The Surgical Association for Endo-Laparoscopic Sugeons in the Asia-Pacific
日本周産期・新生児医学会 認定外科医
日本LPEC研究会 世話人
JATECインストラクター
医長
中村 清邦(なかむら きよくに)
資格・所属学会等
日本小児外科学会 指導医・専門医
日本外科学会 指導医・専門医
日本小児泌尿器科学会 認定医

診療担当表

1階1Bブロック
診察室
午前1B-6下竹(外来検査)下竹(手術)下竹
1B-7岩出中村
午後1B-6(手術)(術前検査)(手術)
1B-7
休診
3月:7日(金)中村
4月:
代診
3月:
4月:
  • 新規の方の診察(初診)は、月・水・金曜日の午前に行っています。受付時間は、午前8時20分から午前11時20分までです。
小児外科 外来受診のご相談
  • 病院代表&夜間救急 TEL:076-237-8211
  • 診察予約 8:30-13:00 TEL:076-238-0489

診療実績

2023年の診療実績

疾病名総数
鼠径<そけい>ヘルニア54名
停留精巣<睾丸>29名
急性虫垂炎19名
過長包皮、包茎及びかん<嵌>頓包茎11名
臍ヘルニア9名
尿道下裂9名
消化管内異物9名
精巣<睾丸>炎及び精巣上体<副睾丸>炎8名
頭部、顔面、脊柱及び胸部の先天(性)筋骨格変形6名
その他の胃腸炎及び大腸炎、感染症及び詳細不明の原因によるもの5名
その他67名
合計226名

2022年の診療実績

疾病名総数
鼠径<そけい>ヘルニア43名
停留精巣<睾丸>29名
急性虫垂炎 11名
尿道下裂10名
臍ヘルニア5名
肛門部および直腸部の膿瘍4名
精巣<睾丸>水瘤および精液瘤4名
腎盂の先天性閉塞性欠損および尿管の先天奇形4名
頭部、顔面、脊柱および胸部の先天(性)筋骨格変形4名
感染症と推定される下痢および胃腸炎3名
その他54名
合計171名

2021年の診療実績

疾病名総数
停留精巣<睾丸>45名
鼠径<そけい>ヘルニア40名
過長包皮、包茎およびかん<嵌>頓包茎9名
急性虫垂炎7名
臍ヘルニア7名
精巣<睾丸>水瘤および精液瘤7名
頭部、顔面、脊柱および胸部の先天(性)筋骨格変形6名
尿道下裂5名
尿路系のその他の先天奇形5名
腸のその他の先天奇形4名
その他46名
合計181名

2020年の小児外科の診療実績

疾病名総数
停留精巣<睾丸>44名
鼠径<そけい>ヘルニア41名
頭部、顔面、脊柱および胸部の先天(性)筋骨格変形11名
臍ヘルニア8名
その他および部位不明の性状不詳または不明の新生物6名
過長包皮、包茎およびかん<嵌>頓包茎5名
尿路系のその他の先天奇形4名
卵巣の良性新生物3名
急性虫垂炎3名
肛門部および直腸のその他の疾患3名
その他41名
合計169名

2019年の小児外科の診療実績

疾病名総数
鼠径<そけい>ヘルニア56名
停留精巣<睾丸>35名
臍ヘルニア8名
過長包皮、包茎およびかん<嵌>頓包茎7名
頭部、顔面、脊柱および胸部の先天(性)筋骨格変形7名
腸のその他の先天奇形5名
腎尿路の良性新生物2名
その他の部位および部位不明の良性新生物2名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患2名
顔面および頚部のその他の先天奇形2名
その他11名
合計137名

2018年の小児外科の診療実績

疾病名総数
鼠径<そけい>ヘルニア85名
停留精巣<睾丸>63名
過長包皮、包茎およびかん<嵌>頓包茎15名
急性虫垂炎14名
臍ヘルニア11名
塞性尿路疾患および逆流性閉尿路疾患10名
血管腫およびリンパ管腫、全ての部位8名
肛門部および直腸部の膿瘍6名
腸のその他の先天奇形6名
頭部、顔面、脊柱および胸部の先天(性)筋骨格変形6名
その他67名
合計291名

医療関係者の方へ

患者さんのご紹介について

患者さんをご紹介いただく際は、お手数ですが紹介状のご協力をお願いします。

  • 診療の予約・お問い合わせは、患者総合⽀援センターまでご連絡ください。
  • 患者さんには、紹介状・保険証・受給者証等をご持参のうえ、午前8時20分から11時20分の間に、紹介患者受付までお越しいただくようお伝えください。
  • 緊急対応が必要な患者さんの場合は、当院代表番号(076-237-8211)までご連絡ください。