診療科・部門のご案内

診療科・部門のご案内

消化器外科

診療実績

診療内容と専門分野別特徴

1. 当科では高度で専門的な治療を行なうため、臓器別にチームを編成しています。共通しているのは内視鏡手術を積極的に取り入れていることです。各チームの責任者と診療の特徴は次のようになっています。

1)上部消化管疾患(胃、食道) 責任者:角谷 慎一
胃がん、食道がんの外科治療、抗がん剤治療を行っています。
上部消化管グループの手術症例数の表」と「胃切除と腹腔鏡手術の割合のグラフ」を見て下さい。胃切除および食道手術では腹腔鏡手術および胸腔鏡手術を積極的に取り入れてきました。
食道がん手術では全例、内視鏡手術で行っています。術後の早期回復が可能となっています。
高度進行胃がんに対しては、術前がん化学療法を行なうことでがんの縮小をはかり、手術適応の拡大に取り組んでいます。

◆上部消化管グループの手術症例数

  2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
胃がん切除・全摘術 133 128 127 116 116 138 78 116 112 102
(そのうち腹腔鏡下手術) 109 107 97 95 96 126 72 106 105 90
(そのうちロボット支援手術) 0 0 4 15 17 21 34 49 59 58
         
食道がん切除術 12 17 21 16 15 17 10 18 13 22
(そのうち胸腔鏡下手術) 12 17 21 16 15 17 10 18 13 22
         
噴門形成術 3 0 0 1 1 4 1 2 3 2

060517上部グラフ.png




2)下部消化管疾患(大腸・直腸) 責任者:伴登 宏行
大腸がんの外科治療、抗がん剤治療を行っています。
大腸切除症例数の表」と「大腸がん切除症例数のグラフ」、「結腸切除術と腹腔鏡手術の割合のグラフ」と「直腸切除と腹腔鏡手術の割合のグラフ」を見て下さい。結腸切除と直腸切除ともに腹腔鏡下手術の割合が増えています。
2007年からは内括約筋切除という肛門括約筋を部分的に切除して、肛門を温存する術式を取り入れました(図 内肛門括約筋切除による肛門温存手術)。他院で肛門が残せないと診断された患者さんでも、当院では積極的に肛門を温存しています。
一方、経肛門的内視鏡下手術を2009年から取り入れ、高齢者の直腸がんでは局所切除と放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせ、手術後の排便機能を保つ治療を行っています。(図 経肛門的内視鏡下手術器具経肛門的内視鏡下手術の実際
現在、力を入れているのは、進行直腸がんに対する治療です。腹腔鏡下手術ではハイビジョン画像で直腸がある奥深い骨盤内を明瞭に見ることができます。細い神経、血管や括約筋もきれいに観察できます。そのため、排尿、排便機能に必要な神経、括約筋もきちんと温存できるようになりました。 また、大きな直腸がんでは手術前に抗がん剤治療、放射線治療を行うことにより、がんが小さくなります(図 放射線治療前後の内視鏡像)。その後に腹腔鏡手術で安全に切除しています。

◆大腸切除術症例数

  2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
結腸がん切除術 104 106 107 122 131 130 98 158 168 157
(そのうち腹腔鏡下手術) 87 92 98 117 114 106 72 127 133 139
         
直腸がん切除術 68 52 88 64 61 79 92 51 71 86
(そのうち腹腔鏡下手術) 67 51 85 62 58 72 89 51 62 76
(そのうち直腸切断術) 4 2 4 6 3 3 4 6 10 3
(そのうち内括約筋切除) 5 3 4 5 7 3 3 2 3 8
         
経肛門的切除 2 8 5 8 9 7 8 5 6 10
(そのうち内視鏡下切除) 2 8 5 7 7 7 7 5 5 9
         
直腸固定術 1 4 4 5 2 7 4 7 12 7
         
虫垂切除術 71 61 76 60 48 57 48 53 54 52
(そのうち腹腔鏡下手術) 69 59 67 60 48 55 47 53 54 52
         
炎症性腸疾患 3 4 5 4 4 5 7 1 3 4

060517大腸グラフ.png

060517結腸グラフ.png

060517直腸グラフ.png

内肛門括約筋切除による肛門温存手術の写真

経肛門的内視鏡下手術器具の写真

経肛門的内視鏡下手術の写真

放射線治療前後の内視鏡像

3)肝・胆・膵疾患 責任者:北村祥貴
膵癌、胆管癌、胆嚢癌、肝細胞癌、転移性肝腫瘍、胆石、その他肝臓・胆道・膵臓・十二指腸領域の疾患に対する外科手術に取り組んでいます。また、内科、放射線科、麻酔科、病理診断科など他科との十分な協力体制のもと、幅広い病状に対して最適な治療を迅速に行います。
 肝胆膵外科学会高度技能修練施設(A)の認定も受けています。

・膵頭部癌や遠位胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術は、腹部手術の中でも高難度とされています。当科では肝胆膵外科学会高度技能専門医および内視鏡外科学会技術認定医が安全で確実な手術を行っています。症例数は「膵切除術のグラフ」をご覧ください。
 適応症例は限っていますが、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術も施行しています。担当医にお尋ねください。

◆膵体部癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(門脈合併切除再建)後

image001.jpg

・膵体尾部癌および膵良性腫瘍などに対する膵体尾部切除術においては、積極的に低侵襲な腹腔鏡手術を行っています。症例数は「膵切除術のグラフ」をご覧ください。

◆腹腔鏡下膵体尾部切除術D2リンパ節郭清後

image002.jpg

◆膵切除術のグラフ

膵切除術のグラフ

・肝細胞癌、肝内胆管癌、肝門部胆管癌、転移性肝腫瘍、その他良性の肝腫瘍などに対して肝切除を行っています。当科では2011年からは腹腔鏡手術を取り入れ、現在では7割以上の手術を腹腔鏡で行っています。従来の大開腹手術とは異なり、患者さんの回復もとても早いです。症例数は「肝切除術のグラフ」をご覧ください。

◆3D画像を用いた術前のシミュレーション

image004.jpg

◆腹腔鏡でみる肝臓

image005.jpg

◆腹腔鏡下肝後区域切除術後

image006.jpg

◆術後の創部

腹腔鏡手術開腹手術

image007.jpg

◆肝切除術のグラフ

肝切除術のグラフ.png

・胆嚢ポリープ、胆石、胆嚢炎、早期胆嚢癌に対しては基本的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。通常お臍から腹腔鏡を挿入し、5mm程度の創部3か所から道具を挿入して行います。希望される方にはお臍の傷のみから行う単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術も行っています。症例数は「胆嚢摘出術のグラフ」をご覧ください。
 膵切除術および肝切除術の増加に伴い、腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術枠を減らして対応しています。そのため、腹腔鏡下胆嚢摘出術の待機期間がとても長くなっております。胆石症、胆石胆嚢炎などに対し、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術が必要な患者さんを他院へ紹介させていただくことが多くなっています。

◆胆嚢摘出術のグラフ

胆嚢摘出術のグラフ

◆肝胆膵高難度手術のグラフ

肝胆膵高難度手術のグラフ


2. 積極的な治療にもかかわらず、がんの終末期を迎える患者さんがいます。このような患者さんの苦痛を緩和する処置はできるだけのことを行っています。当院には緩和ケアチームがあり、医師、看護師、薬剤師、栄養士、精神科医が多方面からサポートしています。

3. 手術後に患者さんが順調に回復するためには、十分な栄養管理、リハビリが必要です。当院には栄養サポートチームがあり、栄養摂取が困難な患者さんには総合的な治療を行っています。早期回復のために積極的なリハビリを行っています。

4. 当院は外科、消化器外科、乳腺外科の研修指定病院です。北陸のリーダーとして積極的に学会発表による情報発信をしています。次代を担う専門医の指導、育成にあたっています。

5. 臨床研修指定病院として学生から人気があり、多くの研修医が集まっています。また、金沢大学医学部の関連病院として、医学部学生の臨床指導も行なっています。他院からも手術見学者が訪れます。ご理解、ご協力をお願いします。

臨床研究

当科はその積極的な取り組みが評価され、厚生労働省の班会議をはじめとする多くの研究グループに属し、新しい抗がん剤治療、新しい治療法の開発に取り組んでいます。この臨床研究は患者さんの参加がなくては成り立たないものです。今後、同じ病気で治療を受ける患者さんたち(その中にはあなたの子供さん、お孫さんが含まれるかもしれません)のため、協力をお願いします。