消化器外科の紹介
当科では、『患者さんに優しい安全な手術』をモットーとし、個々の患者さんの年齢・病状・病期に見合った過不足のない外科治療を行い、患者さんの術後の生活の質(QOL)の向上と満足が得られることをめざしています。当科の診療は、がん治療と救急医療を中心に24時間体制で行っています。腹部臓器のがんなどの悪性疾患を中心として、炎症性腸疾患などの良性疾患や腹部外傷などの救急医療にも対応しています。高度で専門的な治療を行うために、上部消化管(胃・食道)、下部消化管(小腸・大腸)、肝胆膵(肝臓・胆道・膵臓)の3つの臓器別にチームを編成しており、それぞれのチームで専門知識と経験が豊富なスタッフが質の高い外科治療を提供できるよう努めています。
常に最新の高度先進外科治療を実践できるようにし、最近では各領域で低侵襲手術(腹腔鏡手術、ロボット支援手術)を積極的に導入しています。低侵襲手術(腹腔鏡手術、ロボット支援手術)では、手術の創部が小さいため術後の患者さんの痛みなどの苦痛がとても少なくてすみます。また最新の精密な器機により合併症の少ない安全な手術が実践できます。
進行したがんに対しては、手術だけではなく薬物療法(抗がん剤治療など)や放射線治療を組み合わせた集学的治療をすすめ、病気の完治をめざします。また各種の臨床試験や治験にも参加しており、個々の患者さんの病状に応じて最新のデータに基づいた最善の治療を提供できるようにしています。
当科スタッフ全員が、当院の基本理念である、“質の高い医療を提供し、患者さんに安心・満足・信頼していただける” ために、常に患者さんとのコミュニケーションを大切にし、患者さんが安心して治療に専念できるように取り組んでいます。
当科の使命、方針
- 消化器外科の診療は、がん治療と救急医療を中心に24時間体制で行っています。
- 術前の病状説明・術後の術後経過表などを用いて、患者さんへの十分な説明と同意を行ったうえで、外科治療を行います。
- 最新の高度先進外科治療の実践に努めます。
- 個々の患者さんの年齢・病状・病期に見合った過不足ない外科治療を行い、患者さんの術後の生活の質(QOL)の向上と満足が得られることをめざします。早期がんに対しては低侵襲手術(腹腔鏡手術)、機能温存手術(胃、大腸)を積極的に行ないます。一方、進行がんに対しては、外科治療、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療を積極的に行っています。
- 手術後の患者さんは、「かかりつけ医(開業医や紹介病院)」との連携を行ない、通院治療を容易にするよう努めます。
- 住民検診、講演会などを通じて、県民の健康推進に努めます。
- 次代を担う外科医の教育、指導を行っています。
当科のスタッフ

術前の禁煙指導のお願い
診療内容・特徴
当科では、専門的な治療を行うために上部消化管(胃・食道)、下部消化管(小腸・大腸)、肝胆膵(肝臓・胆道・膵臓)の3つの臓器別にチームを編成しています。共通しているのは、積極的に低侵襲手術(腹腔鏡手術、ロボット支援手術)を取り入れていることです。当科には、日本内視鏡外科学会技術認定医6名(伴登、角谷、北村、寺井、大畠、山口)・ロボット支援手術プロクター3名(角谷、大畠、山口)・ロボット外科学会専門医2名(角谷、山口)がいますので、熟練したスタッフによる質の高い低侵襲手術を提供できるようにしています。
上部消化管(胃・食道)
食道がん、胃がんなどの悪性疾患を中心に、食道裂孔ヘルニアや胃食道逆流症(GERD)などの良性疾患に対する手術も行っています( “表1. 当科の主な対象疾患” をご覧ください)。上部消化管チームの特徴として、低侵襲手術(胸腔鏡・腹腔鏡手術、ロボット支援手術)を積極的に取り入れています。食道がんや胃がんの手術では、80%以上の割合で低侵襲手術を行っており、精密な手技によるがんの根治性の向上と患者さんの術後の早期回復に努めています。
高度の進行がんに対しては術前に化学療法(抗がん剤)を行うことによってがんの縮小をはかり、治療成績の向上をめざします。全国ですすめられている臨床試験にも参加し、最新のデータに基づいて患者さんに最善の治療を提供できるようにしています。

下部消化管(小腸・大腸)
大腸がんなどの悪性疾患を中心に、炎症性腸疾患などの良性疾患に対する手術も行っています( “表1. 当科の主な対象疾患” をご覧ください)。下部消化管チームの特徴として、腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。また直腸がんの手術では、内括約筋切除という肛門括約筋を部分切除して肛門を温存する術式を取り入れており、他院で肛門が残せないと診断された患者さんでも積極的に肛門が温存できるように取り組んでいます。
進行した大腸がんに対しては、手術前に抗がん剤治療や放射線治療を行うことによりがんを小さくしてから腹腔鏡手術を行う集学的治療にも取り組んでいます。
腹腔鏡手術などの傷の小さい手術や肛門などの機能温存をはかることにより、患者さんに優しい安全な手術を提供できるように努めています。

肝胆膵(肝臓・胆道・膵臓)
膵がん、胆道がん、肝細胞がん、転移性肝腫瘍などの悪性疾患を中心に、胆石症などの良性疾患にも対応しています( “表1. 当科の主な対象疾患” をご覧ください)。肝胆膵領域は画像診断が大切であり、消化器内科・放射線診断科・病理診断科などの他科との十分な協力体制のもと、確実な診断を行い、病状に応じた最適な治療方針を決定しています。
当院は、肝胆膵外科学会高度技能修練施設(A)の認定を受けており、肝胆膵外科学会高度技能専門医および内視鏡外科学会技術認定の資格をもったスタッフが安全で確実な高難度手術を行っています。また2023年から肝切除手術、膵切除手術に対してロボット支援手術を取り入れており、より正確な手術が行えるようになりました。
胆石胆のう炎・胆のうポリープ・早期胆のうがんに対する腹腔鏡下胆のう摘出術では、通常は3-4か所の5mm程度の創部で手術を行いますが、希望される方にはお臍の1ヶ所のみの創で行う単孔式腹腔鏡手術も行っています(単孔式腹腔鏡手術の写真をご覧ください)。
このように単孔式腹腔鏡手術などの超低侵襲手術から高難度の膵頭十二指腸切除または肝切除術まで、患者さんの状況に応じた最善とおもわれる外科治療を提供できるように取り組んでいます。
単孔式腹腔鏡手術の写真



肝胆膵チームの高難度手術症例数
全チームが対応する疾患
ソケイ部や腹壁のヘルニア手術や、急性虫垂炎・十二指腸潰瘍穿孔・急性汎発性腹膜炎・腹部外傷などの救急疾患に対する手術は、当番を決めて全チームが対応しています。この領域でも積極的に腹腔鏡手術を取り入れています。
対応チーム | 臓器 | 疾患名 |
---|---|---|
上部消化管 (食道・胃) | 食道 | 食道がん、食道粘膜下腫瘍、その他の食道腫瘍、食道憩室、逆流性食道炎、食道穿孔、食道異物など |
胃 | 胃がん、胃粘膜下腫瘍、その他の胃腫瘍、難治性胃潰瘍、胃穿孔、胃瘻造設など | |
肝胆膵 (肝臓・胆道・膵臓) | 十二指腸 | 十二指腸がん、その他の十二指腸腫瘍など |
肝臓 | 肝細胞がん、転移性肝腫瘍、その他の肝腫瘍、肝内結石など | |
胆道 | 胆管がん、胆のうがん、胆のうポリープ、胆石症など | |
膵臓 | 膵がん、その他の膵腫瘍、膵嚢胞性疾患など | |
脾臓 | 脾腫瘍など | |
下部消化管 (小腸・大腸) | 小腸 | クローン病、小腸がん、その他の小腸腫瘍など |
大腸 | 結腸がん、直腸がん、その他の大腸腫瘍、潰瘍性大腸炎など | |
肛門 | 肛門管がん、肛門周囲膿瘍など | |
全チーム | その他 | ソケイヘルニア、腹壁ヘルニア、腸閉塞、急性虫垂炎、消化管穿孔、腹部外傷など |
ロボット支援手術について
従来から行われている腹腔鏡手術は、傷が小さい・術後の痛みが少ない・出血が少ない・回復が早いなどの多くのメリットがありますが、使用する鉗子に制限があり技術的なむずかしさが課題とされてきました。
ロボット支援手術は、腹腔鏡手術の欠点を克服するために開発され、鉗子の自由度が高い(いろんな角度に曲げられる)・手振れ防止機能(使用する器機の先端がブレない)・3Dの高精細画像モニター(立体的に細かいところまでよく見える)などの特徴があり、より精密に低侵襲手術が行えるようになりました。当院では、DaVinci Xiというロボット支援手術用の機種を備えています(写真①)。創部は従来の腹腔鏡手術とほぼ同じで5-8mm程度の創部4-5ヶ所で行いますが、ロボット支援手術では執刀医が離れたコンソールという操作部位から遠隔でカメラや鉗子を装着したロボットを操作して手術を行います(写真②~④)。
2018年4月からロボット支援手術が消化器疾患に対しても保険適応となりました。現在当科では、食道がん・胃がん・肝腫瘍(原発性・転移性)・膵腫瘍・大腸がんに対してロボット支援手術を積極的に取り入れています(当科のロボット支援手術症例数のグラフをご覧ください)。2025年からはDaVinci Xiがさらに1台増設される予定であり、より多くの患者さんにロボット支援手術を提供できるようになります。




当科のロボット支援手術症例数
医師紹介
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(大腸)
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本消化器内視鏡学会 指導医・専門医
日本消化器病学会 指導医・専門医
日本ロボット外科学会(Robo-Doc 国内B級)
日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術認定プロクター(胃)・技術認定医(胃)・評議員
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本食道学会 食道科認定医・評議員
日本胃癌学会 代議員
日本臨床外科学会 評議員
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器病学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(胆のう)
日本肝胆膵外科学会 ロボット支援下肝部分切除および外側区域切除プロクター・評議員
日本外科学会 指導医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(大腸)
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医
日本肝臓学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(肝)
日本門脈圧亢進症学会 技術認定医(手術療法領域)
日本移植学会 移植認定医
日本肝胆膵外科学会 ロボット支援下肝部分切除および外側区域切除プロクター・評議員
日本外科学会 専門医
日本消化器病学会 専門医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(胃)
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本胃癌学会 代議員
日本消化器外科学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本腹部救急医学会
診療担当表
診察室 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | |
---|---|---|---|---|---|---|
午前 | 2D-8 | 角谷 | 伴登 | 一宮 | 角谷 | 伴登 |
2D-9 | 山口 | 寺井 | 大畠 | 山口 | 寺井 | |
2D-10 | 北村 | 郡司掛 | 北村 | 石林 | 郡司掛 | |
2D-11 | 大畠 | 淺川 | ー | 座主 | 淺川 | |
午後 | 2D-8 | ー | 伴登 | ー | ー | 伴登 |
※専門外来 | 上部消化管 胆・肝・膵 | 下部消化管 | 胆・肝・膵 | 上部消化管 | 下部消化管 |
3月: | 13日(木)角谷・山口 |
4月: | ー |
3月: | ー |
4月: | ー |
- 専門外来制をとっておりますので、ご自分の症状にあわせて受診してください。
外来診察曜日以外には必ず手術を行っているため、専門医は診察できません。その日の担当医が対応しますが、治療方針の決定などの専門医の説明は後日になってしまいます。できるだけ、専門医の外来日に受診するようにお願いします。 - 紹介状を持参していただいた患者さんは、優先的に診察しております。ぜひ 紹介状をお持ちください。
当科の医師は北陸のリーダーとして、学会、研究会活動を盛んに行っています。そのため、出張などで外来担当医に変更のある場合は、事前に外来の掲示板でお知らせいたします。また、緊急手術など治療上の理由により突然、外来担当が変更となる場合があります。何卒、ご理解頂きますようお願い申し上げます。
診療実績
食道切除
胃切除
膵切除
肝切除
結腸切除
直腸切除
医療関係者の方へ
当科の診療は、がん治療と救急医療を中心に24時間体制で行っています。上部消化管(胃・食道)、下部消化管(小腸・大腸)、肝胆膵(肝臓・胆道・膵臓)の3つの臓器別にチームを編成しており、消化器領域のほぼすべての疾患に対する外科治療の対応が可能です( “表1. 当科の主な対象疾患” をご覧ください)。それぞれのチームで専門知識と経験が豊富なスタッフが質の高い外科治療を提供できるよう努めています。そして常に最新の高度先進外科治療を実践できるようにし、最近では各領域でロボット支援手術を積極的に取り入れています。ロボット支援手術では、より精密な手技が可能となり、がんの根治性の向上と術後合併症の減少を実現し、安全性と根治性の高い手術が可能となっています(“ロボット支援手術について” をご覧ください)。
がんの診療以外にも、ソケイヘルニア・胆石症などの良性疾患の一般外科手術や、急性虫垂炎・消化管穿孔・腹部外傷などの救急疾患などに対しても幅広く対応しております。
当科では365日24時間対応で緊急入院・手術の受け入れを行っております。ご紹介患者さんにつきましては当院の患者総合⽀援センター(電話:076-238-7852、FAX:076-238-0505)までお問い合わせください。