診療科・部門のご案内

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呼吸器外科

診療内容

 当院呼吸器外科の理念は「patients benefit(患者さんの利益)」です。そのために診療では「Evidence Based Medicine*(EBM: 科学的証拠)に基づいた医療の提供」を基本とし、呼吸器内科、放射線科(診断、治療)、核医学科、病理科、リハビリテーション部はもとより専門領域を必要とする他科との共同診療体制、密接な連携のもと、個人個人の病態に即した診療を心掛けております。しかしながら、現在の医学ではEBMはきわめて少なく、未だにわからないことが大変数多くあるというのが現実です。日進月歩の医学では数年前の常識が現在の非常識にもなっていることがままあります。よって、EBMのみに基づく医療は大変限定され、消極的な治療となりがちです。欧米をはじめとした全世界での最新治療に精通することで、EBMが不十分な状況にある治療においても最新でかつ積極的な治療法を提供する姿勢でいます。(自分勝手な実験的な治療でなく論文、治験などに基づいた治療を提供します。)また、EBMをもとに多数の治療に関するガイドラインが存在しますが、年度毎に変化し、指針になりえないことも多いため積極的に多施設における臨床研究に参加する姿勢でいます。
 当科では主に、年間約300件の手術を含む呼吸器外科疾患全般の診断と治療を担当しています。疾患は肺腫瘍、縦隔腫瘍などの腫瘍性疾患だけでなく気胸などの嚢胞性疾患、感染症、小児呼吸器疾患、胸部外傷などあらゆる胸部疾患を対象としています。特に肺癌手術数は全国的にみても大変多い施設です。呼吸器外科専門医および呼吸器内視鏡専門医、がん治療認定医などの専門医資格を有する医師が診断と治療にあたり、術後の補助化学療法、再発時の化学療法、放射線療法などに対して専門性をもった積極的な治療・検査を行い治療効果の向上に寄与しております。手術、治療内容は胸腔鏡を用いた低侵襲手術(肺癌に対する完全胸腔鏡下手術、小開胸胸腔鏡補助下手術)、早期肺癌に対する縮小手術(区域切除など)、気管支形成や血管形成を含めた肺機能温存手術、進行肺癌の他臓器合併手術(パンコースト肺癌、胸壁・脊椎浸潤、横隔膜浸潤、大血管浸潤など)、悪性胸膜中皮腫に対する胸膜肺全摘術や胸膜全摘術また、手術が不要もしくは不可能な病態に対する内視鏡下のレーザー治療、ラジオ波治療、ステント治療、定位放射線治療など幅広く行っております。総合病院という強みから内科的疾患の併存に対しても各科の協力を得ることで周術期管理をベストなものにします。また、腫瘍以外の胸腔内疾患や緊急外傷に対しても救急部・麻酔科の協力の基に、積極的に常に最先端で高水準の治療、安全で質の高い手術を患者さんに提供すべく日夜努力しています。

*Evidence Based Medicine: EBM: 不確実な個々の医者の経験や直感に頼らないで、世界的、科学的な証拠に基づいて最適な医療・治療を選択し、実践するための方法論

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