放射線診断科(核医学科)の紹介
核医学科とは、害のない程度の微量の放射線を出すお薬(放射性医薬品)を用いて、病気の診断や治療を行っている診療科です。
お薬(放射性医薬品)には特定の病変や臓器に集まる性質があり、お薬の体内の分布を画像化した写真(シンチグラム、シンチまたはスキャンといいます)を撮影して、病気の診断を行ったり、臓器の働きの異常の有無を調べたりします。
核医学の専門医が、フルタイムで、核医学全般の診療にあたっており、担当技師も専従で核医学機器の管理、放射線の安全管理にも万全の注意を払っています。
主な対象疾患は、がん、心疾患、脳神経疾患ですが、それ以外にも甲状腺、肺、肝臓、腎臓、骨の疾患など様々なものがあります。
診療内容・特徴
超音波(エコー)、CT、MRIなどは臓器のかたちや大きさなどを知るのに適していますが、核医学検査は臓器の働き(機能)を知るのに適しています。多くの病気は、まず臓器の働き(機能)の異常が起きてから、数ヶ月ないし半年ほど遅れて、かたち(形態)の変化が起きます。したがって、臓器の働きがわかる核医学検査の方が、病気を早期に発見出来ることが多いといわれています。
核医学検査は、投与する放射性医薬品の種類により、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査とPET(Positron Emission Tomography)検査に分かれ、当院ではいずれの検査にも対応しています。SPECT検査では1方向の放射線を放出する放射性同位元素(single photon emitter)を利用した医薬品を用いるのに対し、PET検査では2方向の放射線を同時に正反対の方向に放出する放射性同位元素(positron emitter)を利用した医薬品を用います。PET検査は主にがんの広がりや再発の診断を目的に行われ、早期胃がんを除く様々ながんが対象になります。SPECT検査はがんの診断のみならず、脳、甲状腺、肺、心臓、腎臓など様々な臓器の機能評価や病気の診断に用いられます。
検査はお薬を静脈注射(または内服)した後、数分~数十分間検査用ベッドに安静に寝ているだけの苦痛の少ないものがほとんどであり、放射線の影響もわずかで、お薬の副作用もほとんどなく、安全性の高い検査です。
当院の特徴として、腫瘍関連のシンチグラフィの占める割合が多いことがあげられます。腫瘍関連の核医学検査においては、1回の放射性医薬品の投与により最大限の情報を引き出すため、PET検査のみならず、SPECT検査においてもSPECTとCTの融合装置SPECT/CTを積極的に活用し、より小さな病変の検出、より正確な診断を目指しています。
バセドウ病に対するアイソトープ内用療法(I-131治療)や前立腺癌骨転移に対するアイソトープ内用療法(ゾーフィゴ治療)も、外来で行っています。
当科を外来受診される患者さんへのお願い
放射性医薬品は、一定の速度(半減期)で減っていく特殊なお薬です。1日しか使えないものが多く、予約日当日にキャンセルされますと、高価なお薬が無駄になってしまいます。このため、キャンセルされる場合は、少なくとも前日午前中までにご連絡ください。
また前処置が必要な場合(絶食、カフェイン(お茶、コーヒーなど)禁やヨード禁、浣腸など)は、各科外来の指示に従ってください。
医師紹介
診療担当表
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | |
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午前 | 福岡 | 福岡 | 福岡 | 福岡 | 福岡 |
3月: | ー |
4月: | ー |
3月: | ー |
4月: | ー |
診療実績
年間核医学検査件数と年間PET検査件数
2023年度SPECT検査の臓器別検査件数
合計:950件
医療関係者の方へ
患者さんのご紹介について
核医学検査の予約・お問い合わせは、患者総合支援センターまでご連絡ください。
PET検査をご依頼いただく際の注意事項
PET検査を保険診療としてご依頼いただく際には、保険適用の対象になるかを事前に十分ご検討いただきたく、以下の点に留意ください。
適用疾患
早期胃癌を除く全ての悪性腫瘍
適用要件
他の検査、画像診断により、病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。
- 検査ご依頼時に悪性腫瘍の診断が確定している必要がありますが、厚生労働省通知の疑義解釈において、「病理診断により確定診断が得られていなくとも、臨床上、悪性腫瘍と診断されれば保険適用となる」とされています。
- 保険適用要件にある「他の検査、画像診断により」は、FDG-PET検査の2~3ヶ月以内に他の検査が施行されていることが要件になります。臨床所見に合わせ、腫瘍マーカーや画像診断の実施内容についても紹介状に記載、資料の添付をお願いいたします。