診療科・部門・センター
泌尿器科

泌尿器科の紹介

泌尿器科が対象とする疾患は腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿路の病気と男性生殖器(前立腺、精巣)、さらに副腎、上皮小体といった内分泌臓器の病気で、外科系の一つです。日本では、戦中、戦後に性病を治療するため皮膚泌尿器科として開始しましたが、欧米では外科の一つとして始まりました。「尿が出にくい」「尿が漏れる」「トイレの回数が多い」「尿に血が混じる」「急に腰が痛くなった」などで泌尿器科を受診される方が多いです。

突然腰背部痛が出現する尿管結石は文明病の一つと言われ、食事の欧米化に伴い増加しています。また、近年注目されている前立腺癌は、米国では男性の癌のうち罹患数で第1位、死亡数で第2位であり、我が国でも急激に増加しています。

一方、女性では咳、くしゃみなどで生じる腹圧性尿失禁がかなりの人に認められるものの恥ずかしさのためなかなか専門医を受診しないと言われています。ご気軽にご相談ください。

泌尿器科で扱う疾患
  • 血尿
  • 尿路生殖器系腫瘍(腎、腎盂尿管、膀胱、前立腺、精巣、尿道、副腎など)
  • 尿路結石
  • 排尿障害(前立腺肥大症、尿失禁、神経因性膀胱、尿道狭窄など)
  • 尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎など)、性感染症(淋菌、クラミジアなど)
  • 包茎、停留精巣、膀胱尿管逆流症、水腎症、尿路性器の先天異常など

診療内容・特徴

泌尿器科全般に総合的高度医療を目指して努力しています。

癌や腫瘍に対する治療について

膀胱腫瘍・膀胱癌

膀胱鏡検査では高解像度の最新型軟性膀胱鏡を導入し、従来の硬性膀胱鏡に比べて疼痛を極力抑えた検査が可能となりました。表在性腫瘍には内視鏡手術を標準的に行っています。平成30年度より表在性膀胱がんに対し、光線力学診断(PDD)システムOPAL1®(STORZ社)システムをマウントした内視鏡手術機器を導入しています。これら機種の導入により再発を少しでも少なくできるように努力しています(光線力学診断を使用した経尿道的手術 )。また、局所進行性膀胱癌に対しては、動脈内に抗がん剤を注入する化学療法で可能であれば膀胱温存を目指しますが、やむを得ず膀胱を摘除しなければならない場合は、手術創が小さく従来の開腹手術とくらべ術後の体を動かす際の負担が軽減するロボット支援手術による膀胱全摘除術泌尿器科におけるロボット支援手術 )を2018年8月より開始しています。また、一定の条件を満たす方であればストーマが不要でこれまで通り尿道から排尿を行うことが可能な自排型回腸新膀胱造設術もロボット支援下に開始し、術後の生活の不便さを少なくするようにしています。 

転移を有する膀胱癌で手術による根治が見込めない方に対しては、抗がん剤を使用した治療のほか保険適応となっている免疫療法なども行っております。

腎・副腎腫瘍

副腎・腎腫瘍に対しては、従来行なわれていた開腹による手術に代わり、腹腔鏡手術を中心に行い、患者さんに低侵襲な手術を提供しています。

当院には、熟練した泌尿器腹腔鏡技術認定医が常勤しています。技術認定医が執刀医、助手、あるいは指導医として手術に参加し、信頼性の高い手術を提供しています。また、最近は腎機能保全目的にロボット支援手術による腎部分切手術泌尿器科におけるロボット支援手術 )も積極的に行っており、腎機能温存手術の症例数も多くなってきています。

前立腺がん・前立腺肥大症

前立腺癌は、検診および一般医の先生方のご協力により前立腺の組織を細い針で採取し、癌があるかどうかを調べる検査(前立腺生検)を積極的に行なうことで、早期発見に努めています。当院では2022年5月からMRI-超音波弾性融合画像ガイド下前立腺生検システムUroNav(PHILIPS社)を導入しており、従来の前立腺生検と比較して前立腺癌が疑わしい部位をより正確に生検することが可能となっています。MRI-超音波弾性融合画像ガイド下前立腺生検はこれまで先進医療であったため高額な費用がかかる点がデメリットでしたが、2022年の診療報酬改定で保険収載され健康保険が適用されることになり、費用の負担は少なくなりました。(MRI-超音波弾性融合画像ガイド下前立腺生検システムUroNavについて )

前立腺癌の治療法には手術、放射線治療、内分泌治療、化学療法があります。前立腺限局癌と診断され、手術を希望される方には、2014年4月よりダヴィンチロボット手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術)を開始し、現在までに約500例に施行しております泌尿器科におけるロボット支援手術 )。従来の開腹手術、腹腔鏡手術に比して出血、術後尿失禁、勃起機能障害などの合併症の少ない手術が可能となりました。また、放射線治療を希望される方には2011年4月よりノバリスTXによる強度変調放射線治療IMRTを行っています。その他の重粒子線治療、組織内照射をご希望の場合はご紹介させていただいております。さらに、2020年10月より、前立腺癌の方で当院でロボット支援手術される方を対象に、術後早期回復(ERAS®)プログラムを導入しました。医師・看護師のほか薬剤師・管理栄養士・理学療法士などの方々とチームをくみ、患者さんの術後の回復をサポートさせていただき、早期回復のみならず、治療に対する満足度の向上および術後合併症の軽減を目指しています。主治医の先生にご気軽にご相談ください。前立腺肥大症に対する手術では、通常の経尿道的前立腺切除術以外にも高出力のホルミウムレーザー機器を用いたHoLEP手術を行っています。今後前立腺肥大症に対する低侵襲手術も導入予定ですので御相談ください。

尿路結石に対する治療について

尿路結石症に対しては3代目装置として体外衝撃波結石破砕装置(ストルツ社製)を有しており、今までに4000例以上の患者さんに治療を行っています。体外衝撃波結石破砕術ESWLで結石破砕が困難な場合は、軟性尿管鏡を用いてホルミウムレーザーで結石破砕する手術f-TUL(最新型のオリンパス社製URF-V3を導入)のほか、大きな腎結石の方などには経皮的腎尿管結石摘出術PNLに加え、fTULも併用して手術を行う術式(PNL+TUL)を積極的に行い、なるべく少ない手術回数で治療が終了可能になるようにしています。

腹圧性尿失禁に対する治療について

女性特有の泌尿器科疾患として、骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁等があります。手術にて完治する可能性の高い疾患なので、気軽にご相談ください。

我慢できないほど強い尿意や尿失禁(尿がもれる)、日中や夜間の頻尿(トイレが近い)はありませんか?それらの症状があった場合、「過活動膀胱」、「神経因性膀胱」の可能性があります。

「過活動膀胱」「神経因性膀胱」に対しては、膀胱の収縮を抑えたり、膀胱の筋肉を緩めるお薬の内服が一般的な治療ですが、これらの治療を行っても効果にとぼしい方や、薬物治療による副作用により服用継続が困難という方にはボトックス治療は良い適応となります。ボトックス治療は日本では2020年4月より保険適応となった新しい治療のひとつですが、当院では2名のボトックス過活動膀胱・神経因性膀胱施注資格医が在籍しており、施行可能です(2021年4月現在)。

性機能障害に対する診療は終了し現在は行っておりません

当院は石川県全域における基幹病院として県内の各医療機関で治療が困難な方々の高度な治療のご紹介を請け負っております。そのため、積極的治療が終了し、状態が安定した患者さんには病院負担軽減のために、ご紹介いただいた医療機関もしくはご希望の近隣の医療機関での経過観察を原則お勧めさせていただいております。ご了承ください。
また、金沢大学における教育機関としても積極的に学術報告を行っています。

医師紹介

科長・診療部長
金沢大学臨床准教授
宮城 徹(みやぎ とおる)
資格・所属学会等
医学博士
日本泌尿器科学会 指導医・専門医
臨床研修指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医・代議員
日本ロボット外科学会 Robo-Doc Pilot認定 国内A級認定
泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医
日本癌治療認定医機構 癌治療認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
ボトックス過活動膀胱・神経因性膀胱 施注資格医

日本泌尿器科学会
日本ロボット外科学会
日本泌尿器内視鏡学会
日本ミニマム創泌尿器内視鏡外科学会
日本尿路結石症学会
日本女性骨盤底医学会
日本骨盤臓器脱手術学会
日本性感染症学会
日本化学療法学会
診療部長
佐藤 両(さとう りょう)
資格・所属学会等
医学博士
日本泌尿器科学会 指導医・専門医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
日本排尿機能学会 認定医

日本泌尿器科学会
日本泌尿器内視鏡学会
日本排尿機能学会
医長
町岡 一顕(まちおか かずあき)
資格・所属学会等
医学博士
日本泌尿器科学会 指導医・専門医
臨床研修指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医

日本泌尿器科学会
日本泌尿器内視鏡学会
日本癌治療学会
日本癌学会
日本アンドロロジー学会
医員
酒德 直明(さかとく なおあき)
資格・所属学会等
日本泌尿器科学会
日本泌尿器内視鏡学会
日本癌治療学会
日本アンドロロジー学会
専攻医
將積 晃(しょうじゃく あきら)
資格・所属学会等
日本泌尿器科学会

診療担当表

2階2Aブロック
診察室月曜火曜水曜木曜金曜
午前2A-10
再診
町岡佐藤宮城宮城酒德
2A-11
再診
酒德町岡將積佐藤將積
2A-12
初診
担当医酒德町岡將積佐藤
休診
3月:
4月:
代診
3月:
4月:

診療実績

2023年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
膀胱の悪性新生物<腫瘍>178名
新生物<腫瘍>の特殊スクリーニング検査124名
腎結石及び尿管結石74名
前立腺の悪性新生物<腫瘍>66名
腎盂を除く腎の悪性新生物<腫瘍>43名
尿管の悪性新生物<腫瘍>41名
急性尿細管間質性腎炎36名
尿路系のその他の障害22名
腎盂の悪性新生物<腫瘍>20名
前立腺肥大(症)17名
その他161名
合計782名

2022年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
膀胱の悪性新生物197名
新生物の特殊スクリーニング検査123名
前立腺の悪性新生物70名
腎結石および尿管結石66名
急性尿細管間質性腎炎46名
腎盂を除く腎の悪性新生物41名
尿管の悪性新生物25名
腎盂の悪性新生物22名
尿路系のその他の障害18名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患17名
その他154名
合計779名

2021年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
膀胱の悪性新生物162名
新生物の特殊スクリーニング検査132名
前立腺の悪性新生物72名
急性尿細管間質性腎炎60名
腎結石および尿管結石52名
腎盂を除く腎の悪性新生物40名
腎盂の悪性新生物22名
尿管の悪性新生物17名
尿路系のその他の障害17名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患15名
その他113名
合計702名

2020年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
膀胱の悪性新生物148名
新生物の特殊スクリーニング検査120名
腎盂を除く腎の悪性新生物63名
前立腺の悪性新生物62名
急性尿細管間質性腎炎51名
腎結石および尿管結石40名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患25名
前立腺肥大(症)21名
尿管の悪性新生物15名
尿路系のその他の障害14名
その他136名
合計695名

2019年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
新生物の特殊スクリーニング検査203名
膀胱の悪性新生物154名
前立腺の悪性新生物93名
腎結石および尿管結石84名
腎盂を除く腎の悪性新生物42名
急性尿細管間質性腎炎42名
前立腺肥大(症)37名
尿路系のその他の障害21名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患16名
下部尿路結石14名
その他161名
合計867名

2018年の診療実績(入院患者のみ)

疾病名総数
新生物の特殊スクリーニング検査214名
膀胱の悪性新生物165名
前立腺の悪性新生物81名
腎盂を除く腎の悪性新生物58名
腎結石および尿管結石52名
急性尿細管間質性腎炎39名
前立腺肥大(症)27名
尿管の悪性新生物17名
腎尿路の性状不詳または不明の新生物14名
閉塞性尿路疾患および逆流性尿路疾患14名
その他139名
合計820名

医療関係者の方へ

患者さんのご紹介について

患者さんをご紹介いただく際は、お手数ですが紹介状のご協力をお願いします。

  • 診療の予約・お問い合わせは、患者総合⽀援センターまでご連絡ください。
  • 患者さんには、紹介状・保険証・受給者証等をご持参のうえ、午前8時20分から11時20分の間に、紹介患者受付までお越しいただくようお伝えください。
  • 緊急対応が必要な患者さんの場合は、当院代表番号(076-237-8211)までご連絡ください。