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医療技術部 検査室
病気と検査
検査による科学的データは、病気の診断や治療・経過観察する上で必要になります。ここでは2,3の病気についてその主な検査の内容について簡単に紹介します。
乳がんの検査
乳がんは30代から増え始め、40代後半でかかる割合が最も高くなり、女性の壮年層(30~64歳)における死亡原因の第一位となっています。
異常となる血液検査
CA15-3、CEAなどの腫瘍マーカー
マンモグラフィ
乳房専用のX線撮影(レントゲン)
乳がんが白く写っています
超音波検査
矢印で示した黒い部分が乳がんです
超音波エラストグラフィにより、組織の硬さを色で評価することができます
乳がんは硬く、良性腫瘍は軟らかいことが多いため、鑑別に用いられます
乳がんの自己検診方法
自己検診を続けることで、ふだんと違う乳房の変化に気付くことができます。
毎月生理が終わった後4~5日が適当です。閉経後の人は毎月、日を決めて行いましょう。
鏡の前に立ってよくチェック
- 鏡の前で両腕を上下させたり、横向きになったりして乳房の形や大きさに変化がないか調べます。
- 乳首の“はれ”“くぼみ”“へこみ”“ひきつれ”などがないか調べます。
入浴時に触ってよくチェック
- 乳房に石鹸をつけ、チェックする側の腕を上げたり下げたりしながら検査します。
- 反対側の手の指の腹で、少し押さえ気味に“の”の字を描くように触れます。乳房全体に円を描くようにすると良いでしょう。反対側も行いましょう。
- 脇の下も、しこりがないかチェックしましょう。
- 乳首のただれがないか、乳首を軽くつまんで血液の混じった分泌物が出ないか調べます。
おやすみ前に仰向けでチェック
- 仰向けになってチェックする側の背中の下に、あまり高くない枕あるいはタオルを入れて乳房全体が広がるようにします。
- 入浴時と同じ要領で乳房に触れます。
◎セルフチェックで異常が見つかった場合や、でも少しでも気になることがあった場合には、すぐに医療機関で検査を受けましょう。
乳がん早期発見のために、30歳からは毎月自己検診を行い、40歳からは1年に1回乳がん検診を受けることが大切です。
乳がんと病理検査のお話
視診・触診・マンモグラフィ・超音波検査により乳がんの可能性がある場合には、細胞や組織を顕微鏡的に観察する病理検査によって確定診断を行います。
以下、実際の症例を用いて説明します。
乳頭分泌物による細胞診検査
乳頭から褐色の分泌物が採取されました。分泌物から採取された細胞をスライドガラスに塗って、色を付けることにより(パパニコロウ染色)顕微鏡で観察することが可能となります。
顕微鏡で観察して異常細胞がないか調べます。
がんが強く疑われる細胞が出現しています。
細胞診においては、細胞検査士が異常細胞を探します。悪性が疑われる細胞については、病理医と共に相談をし、病理医が最終診断をします。
この細胞は悪性(腺がん)と診断されました。
針生検による組織診検査
がんが疑われるしこりに針を刺して、しこりの一部を採取します。
採取されたしこりでHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色標本を作製します。
HE染色標本を作製することで細胞の観察が可能となります。
良性か悪性かの鑑別に加えて、悪性だった場合は、浸潤の有無やがんの特徴について調べることができます。特徴からがんを分類することができ、予後推定や治療選択が可能となります。
赤く囲んだところに充実性に増殖するがん細胞が出現しており、悪性(乳管がん)と診断されました。
乳房切除手術検体による組織診検査
手術療法が選択され、乳房切除手術が行われました。
左が切除された乳房の割面の写真です。右が黒く囲んだところのHE染色標本です。
赤く囲んだところに約14mm大の腫瘤が認められます。
赤く囲んだところを更に拡大した画像です。
がん細胞が密に増殖していることが観察できます。
術後の病理検査では、がんが取り切れているか、リンパ管や血管にがん細胞がないか、浸潤していないかなど詳しく観察します。
乳頭分泌物をきっかけとし、がんの発見につながった症例について紹介しました。
乳がんに気づくきっかけは乳頭分泌物が出る、しこりがある、などです。
気になる症状がある場合は病院にご相談下さい。