診療科・部門のご案内

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医療技術部 放射線室

核医学検査

核医学検査とは

 ラジオアイソト-プ(放射性同位元素)を使って各臓器の機能、形態検査を行います。ラジオアイソト-プを使用しているため放射性医薬品からは放射線(ガンマ線)が出ています。放射能は量的には非常に少なくラジオアイソト-プ固有の寿命を持ち、時間の経過とともに減少していきます。
 患者さんに投与された放射性医薬品は、非常に短い寿命であり、また、排泄物として体外に排泄されます。投与量は非常にわずかですから放射線被ばくはあまり心配することはありません。
 放射性医薬品を使用して検査を行うことをシンチグラムを撮ると言います。

PET-CT装置の写真
PET-CT装置

PET-CT

 PETとは、陽電子放射断層装置(Positron Emission Tomography)のことで、頭文字をとってPETと呼ばれています。
 がん細胞は、正常細胞に比べ3~8倍のブドウ糖を取り込みますので、その性質を使って各臓器の機能、形態検査を行います。PET-CTは、このPETとCTを組み合わせ、より画像の精度を上げることができます。ラジオアイソト-プを使用しているため放射性医薬品からは放射線(ガンマ線)が出ています。放射能は量的には非常に少なくラジオアイソト-プ固有の寿命を持ち、時間の経過とともに減少していきます。

SPECT-CT装置
SPECT-CT装置

当院で行っている核医学検査
  1. 脳の組織の血流状態を調べる脳血量シンチグラム
  2. 甲状腺の機能を調べる甲状腺シンチグラム
  3. 心臓の筋肉の状態を調べる心筋シンチグラム
  4. 肺の機能を調べる肺シンチグラム
  5. 全身の骨の異常を調べる骨シンチグラム
  6. 全身の炎症や腫瘍を調べる腫瘍炎症シンチグラム
  7. ほかにも臓器を調べる様々な検査があります。

乳がんのPET画像とCT画像
乳がんのPET画像とCT画像
CT画像にPET画像を重ねると、がんの位置が正確に表示できます。

骨シンチグラムの画像
骨シンチグラム

骨シンチグラム

骨の病気や、骨折などを調べる検査です。
検査は注射をして約2時間後に行います。
検査は通常約30分かかります。
正確な検査を行うため検査直前に排尿して頂きます。

ガリウム(炎症)シンチグラム

腫瘍や炎症、または発熱の原因を調べるために行う検査です。
検査は注射をして2日後に行います。
全身の撮影を行いますが、ある一部の撮影を追加する場合があります。
正確な検査を行うために検査の直前に浣腸をして排便をして頂くことがあります。
検査は通常約30~40分かかります。

脳血量シンチグラムの画像
脳血量シンチグラム(頭の輪切り像)

脳血量シンチグラム

血液が脳へ正常に流れているかどうかを調べる検査です。
検査は通常約30分かかります。
注射をした後は寝ているだけで終わります。

統計学的画像解析の画像

統計学的画像解析法

血流低下部位が、わかりやすく表示されます。
脳血流に異常が見られる病気はさまざまです。
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳血管障害や脳神経細胞の機能低下や脱落が原因となる精神疾患、てんかん、認知症などがあります。
これらの病気では脳の形態の変化がない部位で脳血流が低下することが多く、脳の病気の診断、症状の評価や治療効果判定に役立っています。

肺シンチグラムの画像
肺シンチグラム

肺シンチグラム

肺の血流分布や空気の出入りを調べる検査です。
血流分布を調べる検査は注射をして3~3分後に行います。
検査は通常約15分かかります。
空気の出入りを調べる検査は無味無臭の放射性医薬品のガスを吸って頂きます。その後、約25分検査時間がかかります。

心筋シンチグラムの画像
心筋シンチグラム

心筋シンチグラム

心臓の筋肉の状態を調べる検査です。
この検査にはいくつかの種類があります。
自転車をこいで行ったり、薬剤を点滴して行う検査もあります。
通常は午前中に一度撮影を行い、その後約4時間後にもう一度撮影を行います。この検査には血流を診たり、心筋のエネルギ-である脂肪酸の代謝や交感神経を診るための検査があり、それぞれ注射する放射性医薬品が異なります。薬が異なると注射してから検査までの時間も異なります。
1回の撮影にかかる時間は約25分です。

検査の種類 撮影時間
骨シンチグラム 約30分
ガリウムシンチグラム 30~40分
脳血流シンチグラム 約30分
肺シンチグラム 15~25分
心筋シンチグラム 1回25分
PET-CT 約30分
別に待ち時間あり
(約90分)
検査の待ち時間、検査時間について

 放射性医薬品を注射したり、服用してから検査を始めるまでの時間は、検査部位(臓器等)、放射性医薬品の種類によって様々です。
検査によっては、一度撮影してから数時間後にもう一度検査することもあります。

検査費用について

 核医学検査で使用する検査薬(放射性医薬品)を製造するには多額の設備投資が必要となります。有効期限が数時間から数日と大変短いため保存が出来ません。そのため製薬会社は、全国の病院からの注文を毎日受けて製造しています。
病院で検査を行うにあたっては、毎日、放射性医薬品を購入します。検査に使用する薬は、この様にコストがかかるため、検査自体が比較的高くなります。

放射線の量と人体への影響
項目 放射線量
(実効線量ミリ
シーベルト)
胸部のX線撮影(直接撮影)
放医研
0.05
東京~ニュ-ヨ-ク
飛行機で往復
0.19
胃のX線撮影(直接撮影)
放医研
0.6
一般の公衆の線量限度(年間)
 医療被ばくはのぞく
1.0
1人当たりの自然放射線
(年間)世界平均
2.4
胸部のCT検査 放医研 6.9
ブラジルのガラパリの自然放射線 10
出典「 ICRP Pub60 」放医研
安全性について

 核医学検査に使用する薬に含まれる放射性同位元素(ラジオアイソト-プ)は極微量であるため、検査を受ける患者さんの受ける放射線被ばく線量も極微量で人体への影響の心配はありません。
 ちなみに私たちが生活している環境からは1年間に約2ミリシ-ベルトの放射線を受けています。地域によっては5ミリシ-ベルト以上の放射線を受けるところもあります。
 核医学検査の放射線量は1回あたり約0.3~15ミリシ-ベルトぐらいです。(検査の種類、放射性医薬品の種類によって多少幅があります)