診療科・部門のご案内

診療科・部門のご案内

消化器内科

専門分野・特徴・他【医療従事者向け】

目次

  1. 咽頭・食道疾患の診断・治療
  2. 胃疾患の診断・治療
  3. 十二指腸・小腸疾患の診断・治療
  4. 大腸疾患の診断・治療
  5. 炎症性腸疾患
  6. 超拡大内視鏡「Endocytoscopy」
  7. 肝・胆・膵疾患
  8. 消化管・肝臓・胆道・膵臓癌に対する薬物療法
  9. 緊急内視鏡(365日24時間体制)
  10. 臨床研究

1.咽頭・食道疾患の診断・治療

 咽頭は嚥下や呼吸、発声という重要な機能を有しています。がんやその治療によって機能が障害されると、QOLが大きく低下する可能性があり、早期発見、早期治療が大切です。NBI(narrow band imaging:狭帯域光観察)併用拡大内視鏡は、ひと昔前までは発見すら困難だった初期の咽頭癌を発見、診断できる優れた内視鏡機器です。当院では2006年よりNBIを導入し、全ての内視鏡検査でNBI併用拡大内視鏡検査が可能な検査体制を整え、咽頭の観察を行っています。
 NBI併用拡大内視鏡導入以降は、それまで1例のみであった早期咽頭癌の発見が64症例116病変と飛躍的に向上しました。また早期の咽頭癌に対し、耳鼻咽喉科、麻酔科と協力しながらの内視鏡治療を導入し、臓器温存・機能温存に努めています(図1)。

図1:耳鼻咽喉科・麻酔科と協力し行っている咽頭癌に対する内視鏡治療

 NBI併用拡大内視鏡検査は食道癌の早期発見に対しても極めて有用です。食道癌の頻度は胃癌の約1/5程度で、外科手術は胃や大腸に比べ侵襲がとても大きく、さらには進行した段階で発見された場合の予後は胃癌・大腸癌よりも悪く、早期発見が何より大切です。現在ではNBI併用拡大内視鏡に加えて必要に応じ超拡大内視鏡を用いた診断を組み合わせて、診断精度を上げるよう工夫しています。咽頭癌と同様に食道癌も早期発見、早期治療を行うことで、治療後の患者さんの生活の質(QOL)は外科手術と比較し大きく保たれます。当科では早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:図2)をいち早く導入し、これまでに560例を超える症例に対し行ってきました。
 食道癌のリスク因子としては一般的にアルコール、喫煙が知られており、治療後の生活習慣改善への取り組みを患者さんとともに取り組むのは当然ですが、最も大切なのは定期的な内視鏡検査を行うことであり、継続した検査の啓蒙にも努めています。
 咽頭・食道癌は、新たな咽頭・食道癌や、他臓器癌が発生しやすい事が知られています。当科では癌の内視鏡治療を多く行っている全国の施設と共同でデータ解析を行っており、今後の適切な経過観察方法、早期発見方法、リスク患者の抽出方法などの確立を目指しています。

図2:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
白っぽい部分が食道がん剥離をしているところ
剥離後の食道切除した病変

胃食道逆流症に対する新しい内視鏡治療:内視鏡的逆流防止粘膜切除術
食生活の欧米化に伴い、胃食道逆流症の患者数は急速に増加しており、現在では成人の10-20%がこの病気にかかっていると推測されています。
胃食道逆流症に対する治療の第一選択はプロトンポンプ阻害薬やカリウムイオン競合型アシッドブロッカーであり、多くの患者さんはそれらの薬剤で症状が改善します。
一方で、それらの薬剤が無効な患者さんもおり、そのような難治性の胃食道逆流症の患者さんに対しては外科手術が行われてきました。
20224月から難治性の胃食道逆流症の患者さんに対する内視鏡手術(内視鏡的逆流防止粘膜切除術)が、限られた施設で認められるようになりました。この内視鏡手術は、食道胃接合部の粘膜を内視鏡で切除することにより、食道胃接合部を狭窄させ逆流を防止するというものです。
当院でも、長年にわたる胃癌や食道癌に対する内視鏡手術の経験を活かして、難治性胃食道逆流症に対する内視鏡手術に取り組んでいます。
難治性の胃食道逆流症でお困りの患者さんがいらっしゃいましたら、当科へご相談ください。

2.胃疾患の診断・治療

 主な対象疾患としては胃炎、胃潰瘍、胃腫瘍などがあり、当科では特に胃腫瘍に対する診断と治療に力を入れています。
 胃腫瘍の代表としては胃癌があります。胃癌は日本における癌による死因の上位3位に常に入っている疾患です。胃癌による死亡を防ぐためには胃癌の早期発見が重要です。当科では胃癌の内視鏡診断の経験豊富な内視鏡医が、最先端の内視鏡システムを用いて、胃癌の早期発見を目指した内視鏡検査を行っています。前述のNBI(narrow band imaging:狭帯域光観察)併用拡大内視鏡は胃癌の診断にも有用であることが報告されていますが、当科ではさらに胃癌診断の新しい内視鏡マーカーとして白色球状外観(white globe appearance; WGA, 図3)を世界で初めて報告し、実際の胃癌診断に役立てています。胃癌のなかには生検病理でも胃癌の診断が難しいものや、胃癌と診断されたもののその広がりや深さの判断に悩む病変が存在し、そのような場合には詳細な内視鏡検査が治療方針の決定に重要な役割を果たします。胃癌診断にお困りの病変がありましたら当科へご相談いただければ幸いです。
 早期で発見された胃癌に対しては、確実に治すことはもちろんのこと、治療後の患者さんのQOLに配慮した低侵襲な治療を目指しています。当科には胃癌に対するESDにおいて3300症例を超える実績があり、さらに近年は安全かつ効率的なESDを目指してトラクション法のひとつとしてクリップ・スネア法(CSM-PLT)を開発・導入し良好な治療成績を得ることに成功しております。すべての早期胃癌に対してESDが行えるわけではありませんが、早期胃癌の治療方法についてのご相談がありましたらお気軽に当科へご連絡ください。

図:白色球状外観

■新しい内視鏡治療

胃粘膜下腫瘍に対する新しい内視鏡治療:内視鏡的胃局所切除術
胃粘膜下腫瘍に対する標準治療は外科的切除ですが、経口内視鏡のみで切除を行う「内視鏡的胃局所切除術」の手技が2020年9月に先進医療Aに承認され、有効性と安全性が評価されています。当院では2022年7月に承認を得て臨床導入しました。
「内視鏡的胃局所切除術」は、胃内腔から粘膜下腫瘍を観察し、腫瘍周囲の粘膜切開を行った後、腫瘍を見ながら最小限の粘膜切開で腫瘍を露出させ、腫瘍の筋層付着部のみの筋層を切開して病変を切除します。腫瘍が筋層浅層までに位置している場合は胃壁を穿孔させずに腫瘍を切除し、穿孔を要した場合はクリップや留置スネアを用いて穿孔部を閉鎖します。治療は全身麻酔で行います。外科的切除と異なり腹部切開創が全くなく、胃壁の切除範囲も最小限に抑えられる、超低侵襲内視鏡手術として期待されています。ただし、経口内視鏡だけで処置の完遂が困難な場合は、外科的切除に移行することがあります。
主な適応は、長径が1.1cm以上、3cm以下の胃粘膜下腫瘍で、増大傾向や悪性所見(潰瘍形成や辺縁不整)を伴う病変です。治療前には、CTや超音波内視鏡で腫瘍の性状、局在を確認し、必要であれば開窓生検や超音波内視鏡下生検で組織学的診断を行ったうえで、慎重に適応を判断しています。
先進医療のため、この手技にかかる費用(約20万円)は保険診療外になります。外来での検査や、手技以外の入院諸経費は保険診療で行うことができます。
胃粘膜下腫瘍は上部消化管内視鏡検査の際に比較的多く認められる疾患で、治療方針に悩むことも多いと思います。お気軽に当科へご相談ください。

図:内視鏡的胃局所切除術の実際
sieftr050404ij.png

3.十二指腸・小腸疾患の診断・治療

 内視鏡検査件数の増加、内視鏡機器の向上や内視鏡医の認知度の上昇により、十二指腸腫瘍に遭遇する機会が増加しています。しかしながら、標準的な診断や治療方針は確立されておらず、通常内視鏡だけでなく術前生検においても腺腫と粘膜内癌の鑑別診断は困難とされています。当科では、非乳頭部の十二指腸腫瘍に対して通常の内視鏡検査に加えNBI(狭帯域光観察、narrow band imaging)併用拡大内視鏡を併用することで、より正確な術前診断を目指しています。
 治療に関しては、消化管の管腔内を水で満たした状態で粘膜下局注を行わずに腫瘍をスネアで絞扼し、高周波手術装置を用いて通電切除する浸水下の内視鏡的粘膜切除術(Underwater EMR)を中心に根治性を保った安全な治療を目指し治療を行っています。


Underwater EMR

 小腸に関しては、当科では、低侵襲で小腸観察が可能な小腸カプセル内視鏡や、病変の詳細な評価と治療が可能な小腸バルーン内視鏡を用いることで、クローン病などの炎症性腸疾患の診断や原因不明の消化管出血、特に小腸出血が疑われる症例などの小腸疾患の診断と治療を行っています。


小腸出血

クローン病

4.大腸疾患の診断・治療

 食生活の欧米化や高齢化社会の進行によって大腸癌の罹患率は増加し続け、また潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患なども増加し続けていることから、 大腸内視鏡診療はますますその重要性を増しています。
 当院で行っている大腸内視鏡検査の件数は年々増加傾向であり、年間の大腸内視鏡件数は3500件を超えております。さらに、新病院では検査室およびトイレの数が増えたため、より多くの大腸内視鏡検査や治療がゆとりを持ってできるようになっております。
 特に女性における部位別の罹患率は第2位、死亡率は第1位ですが、大腸内視鏡検査は羞恥心や不安を伴うため敬遠されやすく,この傾向は女性においてより強いものと考えられます。当院での検討[1]においても、女性は女性内視鏡医を希望する割合が高く、若年者や大腸内視鏡検査の未経験者ではより顕著であることがわかっております。当院には現在、女性内視鏡医が3人いますので、希望の方がいらっしゃれば、女性内視鏡医に担当させて頂くことが可能です。また、大腸がん疾患啓発活動としてブルーリボンキャンペーンを行っています。詳しくはこちらをご覧下さい。

2023daichonaishikensa.png

 内視鏡検査時の送気に二酸化炭素(CO2)を使用すると、速やかに腸管から吸収され、肺から排出されます。そのため、当院では、全大腸内視鏡検査においてはCO2を使用しており、検査後数分で腹部膨満感はなくなり、苦痛の少ない検査を提供いたします。ただし、慢性閉塞性肺疾患などの高度呼吸器疾患や心疾患のお持ちの人はCO2の使用にて持病の悪化の恐れがあるため、使用は相談のうえで対応させていただきます。
 また、2014年1月より大腸カプセル内視鏡(幅11mm、長さ26mm)も導入しました。ただし、令和2年度診療報酬改定により保険適用は「大腸内視鏡が施行困難、もしくは、施行困難が想定される患者」となっています。
 当院では、高解像度の内視鏡に加え、新しい画像強調内視鏡として狭帯域光観察(narrow band imaging: NBI)を導入し、拡大内視鏡と併用し検査を行っています。特に、全国の大腸内視鏡専門医を中心に結成されたThe Japan NBI Expert Team(JNET)より本邦における大腸腫瘍NBI拡大所見統一分類が作成され、それらを用いることで、非腫瘍と腫瘍の鑑別のみならず、腺腫や早期癌の診断を即座に行っています。

NBI(narrow band imaging)併用拡大内視鏡の実際

 腺腫やリンパ節転移の可能性のほとんどない早期癌に対しては積極的にポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)などの内視鏡治療を行っております。当院では、大腸内視鏡検査の際に腺腫や早期癌が発見された場合は、日帰りでの内視鏡的切除を行っています。ただし、サイズの大きな病変を切除した場合などには、切除後に短期入院が必要になることがあります。
 一般的にEMRは2cmぐらいまでの病変が対象になりますが、大きな病変に対しては一括切除が難しく、腫瘍を取り残してします可能性があります。それらの問題を克服すべく、病変と周囲の粘膜を一括して切除できる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発され、早期大腸癌に対しても2012年4月から保険適応となり、当院でも積極的にESDを行なっており、当院で行っている大腸内視鏡下の処置件数は年々増加傾向であります。また、最初から外科的切除をすべきか迷うような場合は、まず体に負担の少ないESDによって病変を切除し、切除後の病理学的な評価によって改めて外科切除をすべきかを判断する(診断的切除)という選択もできるようになりました。
 さらに当科では、安全かつ効率的なESDを目指して胃ESDと同様にクリップ・スネア法(CSM-PLT)を大腸ESDにも導入しており、実際に良好な治療成績を得られたことを報告しています[2]。

2024naishikyoshochi.png

大腸早期がんに対するESD(先進医療として2010年4月より認可され、2012年4月より保険適用)


側方発育型腫瘍

切除後の潰瘍底

2か月後には瘢痕化

参考文献

[1] 川崎梓,吉田尚弘,土山寿志:Gastroenterological Endoscopy 52;1388-94:2019
[2] Yamada S, Doyama H, Ota R, et al. Impact of the clip and snare method using the prelooping technique for colorectal endoscopic submucosal dissection. Endoscopy. 2016;48:281-285.

5.炎症性腸疾患

 当科では潰瘍性大腸やクローン病といった炎症性腸疾患の診断・治療にも力を入れています。潰瘍性大腸炎もクローン病も現時点では原因が特定できておらず、国が定めた「指定難病」にもなっています。炎症性腸疾患は基本的には長期にわたる治療継続が必要となるため、早期の診断と適切な治療計画が重要となります。
 当科では最新のガイドラインで推奨されている診療を基本としつつ、医療者と患者さんがエビデンスを共有して一緒に治療方針を決定する「Shared decision making」を大切にした治療計画を行っています。
 また当院ではより良い治療法の開発のために、新薬の治験にも取り組んでいます。もし従来の治療で寛解導入や寛解維持に難渋している症例がありましたら、お気軽にご相談ください。

6.超拡大内視鏡「Endocytoscopy」


光学拡大機能により、細胞レベルでの生体内観察を実現 出典:オリンパス(株)

 2018年2月に、最大520 倍の光学拡大機能が付くことでリアルタイムに細胞レベルまで観察ができる超拡大内視鏡「Endocytoscopy」が発売されました。拡大倍率520 倍では細胞の核まで観察することが可能です。内視鏡検査時にリアルタイムに顕微鏡レベルでの生体内観察ができるため、診断精度の向上により不要な生検の省略可能性など新たな価値が期待できます。これまで、大腸癌をはじめ、食道癌や胃癌の診断における超拡大内視鏡「Endocytoscopy」の有用性が多数報告されており、当科でも導入し、食道・胃・十二指腸における癌などの病変に対して観察および診断を行っています。

7.肝・胆・膵疾患

①肝炎、肝硬変
 ウイルス性(HBV、HCV)の慢性肝炎、肝硬変に対する抗ウイルス療法を行っています。現在は副作用の強いインターフェロンを使用する事は少なく、抗ウイルス薬による内服加療を主に行います。副作用は少なく高い効果があります。高額な薬ですが公費助成により少ない負担での治療が可能です。自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎など)に対しては肝生検により正確に診断し、治療を行っています。また、急性肝炎に対する治療、劇症肝炎に対する集学的治療(血漿交換+持続血液濾過透析)を行っています。肝硬変においては、合併する腹水や肝性脳症に対する治療、静脈瘤に対する内視鏡治療も行っています。

②肝癌
 慢性肝炎、肝硬変に合併する肝がんの早期発見のため、超音波、CT、MRIなどを組み合わせて定期的に施行しています。発見した肝がんに対しては進行度および肝予備能、全身状態に合わせて、肝切除術やラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、化学療法などを施行しています。

③胆嚢炎、胆管炎
 胆嚢結石による胆嚢炎に対しては早期胆嚢摘出術を行っています。高齢者、全身状態が不良で手術ができない方に対しては保存的治療にくわえて経皮経肝的穿刺吸引術またはドレナージ術を行う場合もあります。最近では経乳頭的胆嚢ドレナージ術や超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術も施行しています。


経乳頭的胆嚢ステント留置術


瘻孔形成術(胆嚢-十二指腸)

 胆管結石による胆管炎は重症化しやすく、迅速に対応しています。内視鏡的胆道ドレナージ術や内視鏡的乳頭切開術・拡張術および採石術を年間で約200-300例行っています。また、以前は手術が必要であった胃切除後の胆管結石に対しても、手術ではなく専用のバルーン内視鏡を用いた内視鏡治療を行っています。さらには、胆道鏡による電気水圧衝撃波胆管結石破砕装置(EHL)を有しています。


胆管結石の治療

④胆嚢癌、胆管癌、膵癌
 超音波・CT・MRI・PET/CTを組み合わせて正確な画像診断を行っています。また、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)も積極的に行っており、迅速かつ正確な病理診断が可能です。なお、治療方針は、消化器内科、消化器外科、放射線科、病理診断科の専門医による定期的カンファレンスで詳細な検討を行い、決定しています。
 胆道癌、膵癌による黄疸に対しては、内視鏡的胆道ドレナージ術を行います。難しい場合には経皮的胆道ドレナージ術を行っていますが、最近では超音波内視鏡下胆道ドレナージ術も積極的に行っております。減黄処置後の全身状態の改善を待って、病気の進行状況に合わせた適切な手術もしくは化学療法の選択を行っています。


胆管ステント留置術

4511
瘻孔形成術(肝内胆管-胃)


瘻孔形成術(肝外胆管-十二指腸)

⑤急性膵炎、膵周囲液体貯留

 胆石や大量飲酒などによる膵炎は重症化すると生命にかかわることも多く、集学的治療(持続血液濾過透析、膵動注療法など)を積極的に行っています。また、膵周囲に液体貯留を形成した場合も手術ではなく超音波内視鏡下ドレナージ術を行っています。

黒, 見ている が含まれている画像

自動的に生成された説明人, 室内 が含まれている画像

自動的に生成された説明
室内, 皿, 平鍋, テーブル が含まれている画像

自動的に生成された説明
瘻孔形成術(胃-膵周囲液体貯留)

8.消化管・肝臓・胆道・膵臓癌に対する薬物療法

当科の特徴

 消化管癌・肝臓癌・胆道癌・膵臓癌を中心とする薬物療法を積極的に行っています。エビデンスに基づいた標準治療の提供だけでなく、多施設共同研究グループ(JCOG・WJOG・SCRUM Japan等)や治験への積極的参加にて多くの新規治療の開発にも関わっているのが特徴です。近年、がん薬物療法は複雑化しており、ゲノム医療を中心とした個別化医療の方向へ進んでいます。がん薬物療法専門医2名を中心として、よりよい治療の確立に貢献すると同時に、患者さんに新たな治療の選択肢も提供していきたいと考えています。また治療の際には十分な説明を行っていくことを基本としており、患者さんご自身が病気をよく理解されたうえで治療を行っていけるようサポートしていきます。

専門とする分野

  • 食道癌の化学療法・化学放射線療法
  • 胃癌の化学療法
  • 大腸癌の化学療法
  • 十二指腸・小腸・肛門管癌の化学療法
  • 消化管間質腫瘍(GIST)の化学療法
  • 肝臓癌の化学療法
  • 胆道癌の化学療法
  • 膵臓癌の化学療法
  • 消化管・肝胆膵領域を原発とした神経内分泌腫瘍

診療実績

 現在、年間3000件を超える薬物療法を外来治療で行っています。(図)仕事や自宅での生活を維持しながら治療を続けられるように、がん専門薬剤師、がん化学療法認定看護師と連携し、診療にあたっています。

図:消化器内科 外来化学療法件数の推移
2024kagakuryoho.png

・外来治療室

9. 緊急内視鏡(365日24時間体制)

 食道・胃静脈瘤破裂、出血性胃・十二指腸潰瘍、小腸・大腸出血に対して、365日24時間体制の緊急内視鏡を行っています。もちろん消化管出血のみならず、急性閉塞性化膿性胆管炎や成人・子供における食道・胃の異物誤飲など、あらゆる消化器救急疾患においても同様に、24時間体制で対応しています。救命救急センターと連携し、夜間、休日でも迅速かつ安全に処置が行える体制を整えております。

10.臨床研究

 当科では、患者さんにより良い治療法を提供するために、全国の他の医療機関と共同で臨床試験を中心とした研究を積極的に行っています。
 現在行っている主な臨床研究は下記の通りです。

  • 頭頸部表在癌に対する経口的手術の第II/III相試験
  • 頭頸部表在癌経口的手術後の異時性他臓器癌の早期発見による予後への影響と発生リスクと予防方法の検討に関する多施設共同前向きコホート研究
  • 食道癌内視鏡治療後のヨード不染帯程度別の異時性他臓器がんの発生状況を調査する多施設共同前向きコホート研究
  • Barrett食道に関する全国疫学調査・研究
  • 生体試料からの遺伝子発現プロファイルを用いた食道がんサブタイプ分類と治療効果との関連に関する臨床評価試験
  • 呼気中アセトアルデヒド/エタノール濃度比と 頭頸部・食道がん発症リスクの関連性に関する研究
  • 食道癌術後難治性吻合部狭窄に対するステロイド併用EBDおよびステロイド併用RICのランダム化比較第II/III相試験
  • 早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄予防を目的とするステロイド内服療法およびステロイド局注療法のランダム化比較第III相試験
  • 胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後に実施する上部消化管内視鏡検査の適切な間隔を検討する無作為化比較研究
  • 抗凝固薬内服例の胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)におけるダビガトラン置換の有効性を検証する多施設前向き試験
  • 胃癌AI診断の精度向上のための研究
  • ヘリコバクター・ピロリ陽性かつ早期胃がんESD治癒切除後患者における、ピロリ菌除菌による異時性胃癌抑制効果を証明するランダム化比較試験
  • 早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の高齢者適応に関する第III相単群検証的試験
  • 家族性大腸腺腫症に対する大腸癌予防のための内視鏡介入試験の追加研究(J-FAPP StudyIII-2)
  • ワルファリン内服継続下での大腸ポリペクトミー/EMRの安全性に関する探索的前向き試験
  • 肝細胞がん発症リスクを有する患者における発がん予測因子としての血清ラミニンγ2単鎖測定の有用性を検討する臨床研究
  • 実地診療における膵癌患者の臨床的特徴と治療の検討

 また、上記の他にも化学療法を含めた多くの臨床研究を行っています。当院のホームページをご覧ください。なお、詳細については担当医にご質問ください。