診療科・部門のご案内

診療科・部門のご案内

消化器内科

専門分野・特徴・他【患者様向け】

石川県立中央病院 消化器内科の大きな特徴は次の通りです。

  • より早期発見、より正しく診断!! -すべての内視鏡検査にNBI併用拡大内視鏡検査-
  • より確実かつより安全に切除!! -すべての内視鏡治療に最先端の技術-
  • 24時間緊急体制!

 いまや2人に1人が「がん」になる時代ですが、「がん」を恐れすぎる必要はありません。定期的に検査を受け、早期発見・早期治療をすれば大丈夫です。もし「がん」が発見された場合でも、当院ではもっとも体に負担の少ない治療を提供しています。他の病院やクリニックで「がん」と診断されたなら、気軽にご相談ください。
 ここからは次の1~9について記載してあります。詳しくは各番号の内容をお読みください。

  1. 咽頭・食道疾患の診断・治療
  2. 胃疾患の診断・治療
  3. 十二指腸・小腸疾患の診断・治療
  4. 大腸疾患の診断・治療
  5. 炎症性腸疾患
  6. 超拡大内視鏡「Endocytoscopy」
  7. 肝・胆・膵疾患
  8. 消化管・肝臓・胆道・膵臓がんに対する薬物療法
  9. 緊急内視鏡(365日24時間体制)
  10. 臨床研究

1.咽頭・食道疾患の診断・治療

 咽頭(のど)は、口の奥の部分で、食道や気管の手前にあたる部位の名称です(図1)。

図1:咽頭の構造
咽頭
出典:国立がん研究センターがん情報サービス

 咽頭は嚥下(飲み込むこと)・呼吸・発声を調節する、複雑な機能をもっているので、がんやその治療によって大事な機能が障害されることがあります。内視鏡で早期発見・早期治療ができれば、症状を出来るだけ少なくして完治を目指すことが出来ます。
 これまでの内視鏡では早期の咽頭がんを発見することはとても難しかったのですが、近年開発されたNBI(narrow band imaging:狭帯域光観察)という画像強調内視鏡(消化管の粘膜表面の模様や血管の輪郭、色調を強調する観察方法)と、拡大内視鏡(高解像の拡大した画像を得ることが可能)を組み合わせたNBI併用拡大内視鏡検査を行うことで、多くの早期の咽頭がんを発見することができるようになりました。当院では2006年よりNBIを導入し、現在ではすべての上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)でNBI併用拡大内視鏡検査が可能となっています。また、早期に発見された咽頭がんに対しては、耳鼻咽喉科、麻酔科と協力しながらの内視鏡治療を行い、嚥下・呼吸・発声など大事な機能の温存に努めています(図2)。

図2:耳鼻咽喉科・麻酔科と協力し行っている咽頭がんに対する内視鏡治療
咽頭がん内視鏡切除1咽頭がん内視鏡切除2

 NBI併用拡大内視鏡検査は食道がんの早期発見に対しても極めて有用です。咽頭がんと同様に食道がんも早期発見できれば、外科手術で食道を切除するのではなく、内視鏡でがんの部分だけ切除する身体にもっともやさしい治療を行えます。食道がんの外科手術は身体への負担が大きく、可能なかぎり早期発見し、早期に内視鏡治療することが望まれます。当院では早期食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:図3)を北陸でいち早く導入し、これまでに560例を超える症例に対し行ってきました。

図3:食道がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
白っぽい部分が食道がん剥離をしているところ
剥離後の食道切除した病変

 咽頭がん、食道がんの原因としては一般的にお酒とタバコが知られています。その他に、アルコールを分解しにくい体質、熱い食べ物や飲み物を好む習慣、野菜や果物の摂取不足など、いろいろなことがかさなりあって「がん」の発生につながると考えられています。一方で,これらの原因に関係していない食道がんもあります。当院では、検査を受けられるすべての患者さんの内視鏡検査でNBI併用拡大内視鏡を使い、咽頭がん、食道がんの早期発見・早期治療を目指しています。

胃食道逆流症に対する新しい内視鏡治療
胃食道逆流症は、主に胃酸が食道へ逆流することにより、胸やけ(みぞおちの上の焼けるような感じ、しみる感じなど)や呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じ)などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたり(食道炎)する病気です。食生活の欧米化に伴い、胃食道逆流症の患者数は急速に増加しており、現在では成人の10-20%がこの病気にかかっていると推測されています。
胃食道逆流症に対する治療の第一選択は胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー)であり、多くの患者さんはそれらの薬で症状が改善します。
一方で、それらの薬が無効な患者さんもおり、そのような難治性の胃食道逆流症の患者さんに対しては外科手術が行われてきました。
2022年4月から難治性の胃食道逆流症の患者さんに対する内視鏡手術が、限られた施設で認められるようになりました。この内視鏡手術は、食道と胃のつなぎ目のあたりの粘膜を内視鏡で切除することにより、つなぎ目をきつくすることで逆流を防止するというものです。
当院でも、長年にわたる胃癌や食道癌に対する内視鏡手術の経験を活かして、難治性胃食道逆流症に対する内視鏡手術に取り組んでいます。
難治性の胃食道逆流症でお困りであれば、当科へご相談ください。

2. 胃疾患の診断・治療

 主な胃の疾患としては胃炎、胃潰瘍、胃腫瘍などがあり、当科では特に胃腫瘍に対する内視鏡診断と治療に力を入れています。
 胃腫瘍の代表は胃がんです。胃がんは日本における癌による死因の上位3位に常に入っている疾患です。胃がんによる死亡を防ぐためには早期発見が重要です。当科では胃がん診断の経験が豊富な内視鏡医が、最先端の内視鏡システムを用いて、胃がんの早期発見を目指した内視鏡検査を行っています。
 早期で発見された胃がんに対しては、確実に治すことはもちろんのこと、治療後の患者さんの生活の質(QOL)に配慮した身体にやさしい治療を目指しています。身体にやさしい治療の代表として、内視鏡でがんを切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。当科には胃がんに対するESDを3300人以上の患者さんへ行ってきています。最近ではESDを安全かつ効率的に行うためのクリップ・スネア法(図)を開発・導入し、良好な治療効果を得ることに成功しています。すべての早期胃がんに対してESDが行えるわけではありませんが、他院で診断された方でも早期胃がんの治療方法についての疑問点があれば当科スタッフにぜひ一度ご相談ください。
 また、胃腫瘍の中には粘膜下腫瘍といって胃の壁の中で発育する腫瘍もあります。従来は診断が困難でしたが、超音波内視鏡を用いることでより正確な診断が可能となりました。治療が必要と判断された胃粘膜下腫瘍に対しては、当院消化器外科と連携し腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)などの身体にやさしい治療方針を提案させていただきます。

図:クリップ・スネア法

■新しい内視鏡治療

胃粘膜下腫瘍に対する新しい内視鏡治療:内視鏡的胃局所切除術
粘膜下腫瘍とは、正常な粘膜の下に腫瘍が出来、正常な粘膜が盛り上がって見える病変です。胃の粘膜下腫瘍は、検診などで比較的多く発見されます。そのほとんどが治療の必要がない病変ですが、切除をしないと命に関わる悪性病変も存在します。当院では、胃粘膜下腫瘍の診断、治療を多数行ってきており、切除の必要がある病変は、外科的切除(手術)を行ってきました。
近年、経口内視鏡(いわゆる胃カメラ)だけを用いて切除を行う「内視鏡的胃局所切除術」の手技が、2020年9月に厚生労働省の先進医療Aに承認されました。当院では2022年7月に承認を得て臨床導入しました。この「内視鏡的胃局所切除術」は、外科的切除と異なり腹部切開創が全くなく、胃壁の切除範囲も最小限に抑えられる、超低侵襲内視鏡手術として期待されています。治療は全身麻酔で行い、7~10日間の入院が必要になります。経口内視鏡だけで処置の完遂が困難な場合は、外科的切除に移行することがあります。
治療前には、外来でCTや超音波内視鏡で腫瘍の精密検査を行い、治療の適応を判断しています。また、入院して腫瘍の一部を内視鏡で採取する検査を行うこともあります。先進医療として、この手技にかかる費用(約20万円)は保険診療外になります。外来での検査や、手技以外の入院諸経費は保険診療で行うことができます。胃粘膜下腫瘍の診断、治療方法についてのご質問がありましたら、お気軽に当科へご相談ください。

図:内視鏡的胃局所切除術の実際
sieftr050404ij.png

3.十二指腸・小腸疾患の診断・治療

 消化管の1つである小腸は、胃と大腸の間に存在し、「十二指腸」、「空腸」、「回腸」の3つに分けられます。胃につながっていて最初にある小腸が十二指腸になります。

 十二指腸の腫瘍については比較的まれであり、世界的にみても胃の腫瘍ほどの十分な解明が行われていないのが現状です。しかしながら、最近では上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)での検診も普及しており、発見される機会が増えています。腺腫のような良性の腫瘍から、がんのような悪性腫瘍もあり、当科では正確な内視鏡診断と病変をすべて取り除く安全な内視鏡治療を目指し積極的に十二指腸腫瘍の診断と治療を行っています。特に、近年は十二指腸の管腔内を水で満たした状態で金属製のループ(スネア)を用いて、高周波電流にて切除する浸水下内視鏡的粘膜切除術(Underwater EMR)という比較的安全な治療法を中心に行っております。


Underwater EMR

 小腸の長さは6から7メートルで、位置的に口からも肛門からも離れており長く曲がりくねっていることから通常の内視鏡での検査は非常に困難な臓器です。当科では、体に負担が少なく小腸観察が可能な小腸カプセル内視鏡や、病変の細かな評価と治療が可能な小腸バルーン内視鏡を用いることで小腸疾患の診断と治療を行っています。


小腸カプセル内視鏡

小腸バルーン内視鏡

4.大腸疾患の診断・治療

 近年、食生活の欧米化や高齢化社会の進行によって大腸がんの罹患率(疾病を有している人の割合)は増加しています。しかしながら、早期に発見して治療することによって治癒が期待できます。

202306buibetsurikan.png



2024buibetsugan.png

 大腸内視鏡は、肛門から内視鏡を挿入して大腸の内腔を直接観察する検査であり、早期がん発見に最も精度が高く、診断から治療までを行うことが可能です。当院で行っている大腸内視鏡検査の件数は年々増加傾向であり、年間の大腸内視鏡件数は3500件を超えております。さらに、新病院では検査室およびトイレの数が増えたため、より多くの大腸内視鏡検査や治療がゆとりを持ってできるようになっております。大腸カメラの流れについてはこちらをご覧ください。
 しかしながら、大腸内視鏡検査は羞恥心や不安を伴うため敬遠されやすく、この傾向は女性においてより強いものと考えられます。当院での検討でも、女性は、女性内視鏡医を希望する割合が高く、若年者や大腸内視鏡検査の未経験者ではより顕著であることがわかりました。当院には現在、女性内視鏡医が3人いますので、希望の方がいらっしゃれば、女性内視鏡医に担当させて頂くことが可能です。また、大腸がん疾患啓発活動としてブルーリボンキャンペーンを行っています。詳しくはこちらをご覧下さい。

2023daichonaishikensa.png

 大腸内視鏡検査は従来、「室内空気」で大腸を拡げて観察していたため、検査後、しばらく消化管内に空気が残り、お腹が張ることがありました。当院では、検査中は「炭酸ガス」を使用しており、炭酸ガスは空気よりもかなり吸収が早いため、検査後数分でおなかの張りがなくなり、検査中も検査後も楽な検査を提供いたします。ただし、高度の呼吸器疾患や心疾患のお持ちの人は炭酸ガスの使用にて持病の悪化の恐れがあるため、使用は相談の上で対応させていただきます。
 また、2014年1月より大腸カプセル内視鏡(幅11mm、長さ26mm)も導入しました。どうしても大腸内視鏡検査が苦手という方はご相談ください。ただし,保険適用は「大腸内視鏡が施行困難、もしくは、施行困難が想定される患者」となっています。
 当院では、高解像度の内視鏡に加え、自然の光のうち2つの狭い光のみを用いる狭帯域光観察(narrow band imaging: NBI)を導入し、拡大内視鏡(100倍までズーム式に拡大できる内視鏡)と併用することで、良性のポリープである腺腫や早期大腸がんの診断を即座に行なうことが可能であり、精度の高い診断を行っています。


NBI(narrow band imaging)併用拡大内視鏡の実際

 粘膜内にとどまっておりリンパ節や他の臓器への転移がないと考えられる早期の大腸がんに対して、内視鏡切除が病変をすべて取り除く治療として広く普及してきています。内視鏡治療は、カメラや切除器具を用いてがんの部分のみを粘膜ごと切除するため、体への負担が少ない治療法です。当院では、大腸内視鏡検査の際に大腸ポリープや早期大腸がんが発見された場合は、日帰りでの内視鏡的切除を行っています。ただし、サイズの大きな病変を切除した場合などには、切除後に短期の入院が必要になることがあります。

 しかし、早期がんの中でもサイズの大きいものに対しては、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)では、技術的な理由によってがん細胞を取り残してしまうことがありました。それらの問題を克服すべく、がんと周囲の粘膜を一括して切除できる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発され、早期大腸がんに対しても2012年4月から保険適応となり、当院でも積極的にESDを行なっており、当院の大腸内視鏡下の処置件数は年々増加傾向であります。

2024naishikyoshochi.png
大腸早期がんに対するESD(先進医療として2010年4月より認可され、2012年4月より保険適用)

 大腸に炎症を起こす疾患には、微生物が原因となって惹き起こされる感染性腸炎や医薬品の副作用に伴って生じる薬剤性腸炎のように原因のはっきりしているものと、炎症性腸疾患というまだ原因の明らかになっていないものがあります。炎症性腸疾患は、消化管(腸)に原因不明の慢性的な炎症を起こす疾患の総称で、主に潰瘍性大腸炎やクローン病に代表され、最近、日本でも生活の欧米化とともに増加しております。それぞれの病気に応じた治療を行っており、潰瘍性大腸炎やクローン病には内服療法のみならず血球除去療法(血液中の活性化した白血球を取り除き、炎症をすみやかに鎮める治療法)、生物学的製剤(化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬物と使用するもの)を積極的に導入しています。クローン病による小腸の狭窄においては従来では開腹外科手術が行われていましたが、小腸内視鏡による拡張術が有効なこともあります。

5.炎症性腸疾患

 炎症性腸疾患とは腸の粘膜に炎症を引き起こす病気の総称ですが、一般的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」のことを意味します。潰瘍性大腸炎もクローン病も今のところ原因がはっきりとはわかっておらず、国が定めた「指定難病」となっています。いずれの病気の患者数も近年増加傾向であり、特に若い方に多いという特徴があります。また症状としては、腹痛・下痢・血便などで発症することが多いです。
 潰瘍性大腸炎もクローン病も発症すると長期間の治療が必要な慢性の病気であり、病状が悪い時期(再燃期)と落ち着いている時期(寛解期)を繰り返すのが特徴です。また長期的には腸の狭窄や癌の原因になることもあります。
 当科では最新のガイドラインで推奨されている診療を基本としつつ、医療者と患者さんがエビデンス(科学的な根拠)を共有して一緒に治療方針を決定すること「Shared decision making(シェアード・ディシジョン・メイキング)」を大切にした治療計画を行っています。
 また当院ではより良い治療法の開発のために、新薬の治験にも取り組んでいます。もしご興味がありましたら、担当医までご相談ください。

6.超拡大内視鏡「Endocytoscopy」


光学拡大機能により、細胞レベルでの生体内観察を実現 出典:オリンパス(株)

 2018年2月に、最大520 倍の拡大機能が付くことでリアルタイムに細胞レベルまで観察ができる超拡大内視鏡「Endocytoscopy」が発売されました。診断の向上により、生検を行わなくても正確な診断ができる可能性が期待されています。これまで、大腸がんをはじめ、食道がんや胃がんの診断における超拡大内視鏡「Endocytoscopy」の有用性が多数報告されており、当科でも導入し、がんなど消化管の病変に対して観察および診断を行っています。

7.肝臓、胆嚢と胆管、膵臓の病気

①肝炎、肝硬変
 B型やC型の慢性肝炎、肝硬変(肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態)に対する治療を行っています。とく最近では副作用の強いインターフェロン注射ではなく、外来での飲み薬による治療がほとんどです。高い効果がありながらも、副作用は少ない特徴をもっています。高価な薬ですが、公費助成により少ない負担で治療できます。
 免疫の異常による病気(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎など)もあります。肝臓の組織検査(組織を摘出し顕微鏡で調べる検査)で診断して適切な治療を行っています。
 急性肝炎の治療や、命にかかわる劇症肝炎に対する集中治療(血液中に存在する原因物質や病態を悪化させている物質を除去する血漿交換や透析など)も行っています。
 肝硬変にともなう腹水や肝性脳症(肝臓の機能低下による意識障害)に対する飲み薬による治療、食道静脈瘤(食道粘膜の下にある静脈の壁が膨れて、血管が瘤のようになる病気)に対する内視鏡による治療も行っています。

②肝臓がん
 慢性肝炎・肝硬変にともなう肝臓がんの早期発見のため、超音波、CT、MRIなどを組み合わせて定期的に検査します。発見した肝臓がんに対しては、患者さんの状態に合わせて、外科手術、ラジオ波焼灼療法(針を刺してがんを焼きます)、肝動脈塞栓術(血管を詰めてがんを兵糧攻めにします)、化学療法(抗がん剤の治療です)などを行います。

②胆嚢炎、胆管炎
 胆石による胆嚢炎に対しては早めに外科手術を行います。しかしながら、高齢や基礎疾患のため外科手術に耐えられない場合は、胆嚢に針を刺して膿(うみ)を抜くこともあります。また、最近では超音波内視鏡(先端に超音波装置が付属した内視鏡)を併用して高度な内視鏡治療もしています。


胆嚢ステント留置術


瘻孔形成術(胆嚢-十二指腸)

 胆石による胆管炎は命にかかわることもあり、重い場合には内視鏡を用いた治療を緊急で行います。昔は外科手術が必要であった胃の手術を受けている患者さんの胆管炎に対しても、専用の内視鏡をもちいた内視鏡治療を行います。


胆管結石の治療

③胆嚢がん、胆管がん、膵臓がん
 超音波・CT・MRI・PETなどを組み合わせて診断します。また、超音波内視鏡による組織検査も行っており、迅速かつ正確な診断が可能です。がんによる黄疸に対しては、内視鏡を用いた治療を行います。難しい場合は体の外から針を刺して胆汁を抜く治療をしますが、最近では超音波内視鏡で体の中から針を刺して胆汁を抜く治療も行っています。いずれかの方法で黄疸をなおし体調を整えてから、がんの進行に合わせて外科手術や抗がん剤の治療を行っていきます。


胆管ステント留置術

4511
瘻孔形成術(肝内胆管-胃)


瘻孔形成術(肝外胆管-十二指腸)

④膵炎、膵周囲液体貯留
 胆石やお酒による膵炎は命にかかわることもあり、重い場合は集中治療(血管内に留置カテーテルを用いて薬物を動脈内に持続的に注入する動注療法や透析など)が必要となります。また、膵臓の周りに膿(うみ)のたまりができた場合は、なるべく外科手術ではなく超音波内視鏡を用いた治療を行います。

黒, 見ている が含まれている画像

自動的に生成された説明人, 室内 が含まれている画像

自動的に生成された説明
室内, 皿, 平鍋, テーブル が含まれている画像

自動的に生成された説明
瘻孔形成術(胃-膵周囲液体貯留)

8.消化管・肝臓・胆道・膵臓がんに対する薬物療法(抗がん剤治療)について

特徴

  • がん薬物療法の専門医師が責任をもって対応します
  • 患者さんご自身が病気をよく理解されたうえで治療を行っていけるよう十分な説明を行っていくことを基本としています
  • 薬剤師、看護師、患者総合支援センター、場合によっては訪問看護や訪問診療の先生と連携し、患者さんとそのご家族を総合的にサポートできるよう努めています
  • 研究グループ(JCOG・WJOG・SCRUM Japan等)や治験に参加するなど、新しい治療法の開発にもかかわっています

専門とする分野

  • 食道がんの薬物療法・化学放射線療法
  • 胃がんの薬物療法
  • 大腸がんの薬物療法
  • 十二指腸・小腸・肛門管がんの薬物療法
  • 消化管間質腫瘍(GIST)の薬物療法
  • 肝臓がんの薬物療法
  • 胆道がんの薬物療法
  • 膵臓がんの薬物療法
  • 消化管・肝胆膵領域原発の神経内分泌腫瘍

診療実績

 現在、仕事や自宅での生活を維持しながら、がん治療を行うために薬物療法を外来で行う場面が多くなってきています。当院では外来で安全に点滴治療をうけていただくための専用スペースとして、3階に外来治療室を設けています。
 がん専門薬剤師、がん化学療法認定看護師のサポートの下で、現在、年間3000件を超える消化管・肝臓・胆道・膵臓がんの点滴治療を行っています(図9)。
 当科が参加している臨床試験や治験については「9.臨床研究」をご参照ください。臨床試験や治験にはすべての方が参加できるわけではありませんが、大切な治療のチャンスになる場合には提案させていただくことがあります。

・消化器内科 外来化学療法件数の推移
2024kagakuryoho.png

・外来治療室

9.緊急内視鏡(365日24時間体制)

 吐血(出血が口から吐き出される)や下血(血液成分が肛門から排出)など消化管からの出血が疑われる場合など病状によっては緊急に内視鏡検査を行う必要があります。この場合、すぐに治療をしないと生命に危険が生じる可能性があり、予約の必要はありません。当院では24時間365日、迅速かつ安全に緊急内視鏡が行える体制を整えております。

10.臨床研究

 当院では様々な臨床研究を行っています。

臨床研究とは?
 人を対象とした医学系研究のことです。病気の予防方法や治療方法の改善や病気の原因の解明が目的です。当科では患者さんにより良い治療法を提供するために、全国の医療機関と共同で臨床研究を行っています。

 詳細に関しては、担当医にご質問ください。当院の臨床研究一覧は・・・当院のホームページ・・・をご参照ください。