診療科・部門のご案内

診療科・部門のご案内

整形外科

脊椎・脊髄外科
(担当:安竹 秀俊 医師、新村 和也 医師)

○特色
 脊椎外科は首・背中・腰の痛みや手足のしびれなど、脊椎脊髄病疾患を専門的に診察しております。専門医による診察に基づいた診断と治療方針の決定を行い、症状や病態に合わせてお薬や神経ブロックなどによる保存的治療や神経圧迫除去術 や脊椎固定術などの手術治療を行います。
 また毎週金曜日の午後には側弯症外来を行っており、思春期に背骨が曲がる特発性側弯症を対象として、診察・治療を行っています。

○脊椎について
 脊椎(背骨)は7つの頚椎、12の胸椎、5つの腰椎、および仙骨からなりたち、それぞれの骨は椎間板や靭帯を介して連結しています。さらに脊椎の中には脳からの命令を手足に送る脊髄神経が通っています。椎間板や靭帯が加齢現象などによって不安定になると腰や首の痛みが出現します。さらに、脊髄神経を圧迫することで手足のしびれや痛み、筋力低下、長く歩けない・ふらつきなどの歩行障害、時には頻尿や尿が出にくいなどの症状も出てきます。

○診察内容
 脊椎外科では症状の原因を、詳細な診察およびレントゲンやMRI、脊髄造影検査などの画像検査、神経ブロックなどを用いてできるだけ正確に診断し、手術的治療や専門的な観察が必要かどうかを見極めます。
 当科では次のような症状を持った患者さんに対して、専門的に診察・治療しております。

頚髄症状: 手足のシビレや痛み、手指のぎこちなさ(ボタン掛けができない、箸が上手く使えない等)、歩行障害(ふらつく、足が出にくい、つまずきやすい)、排尿障害(頻尿、尿もれ)。
腰椎症状: 臀部や脚のシビレや痛み、歩行困難(長く歩けない、休みながらでないと歩けない)、排尿障害。
 難治性腰痛: 各種の保存治療に抵抗性の腰痛を対象とします。

これらの症状がある方は、脊椎、脊髄が原因となっている可能性がありますので、脊椎外科の受診をおすすめします。

脊椎外科で治療する代表的な疾患には以下のようなものがあげられます。

腰部脊柱管狭窄症

 加齢などで変形した椎間板や背骨の突出などが原因となり、脊柱管という脊髄の神経の通り道が圧迫され、下肢の痛みやしびれ、筋力低下などを生じる病気です。高齢者に多く、下肢の痛みやしびれのため、休みながらでないと長い距離が歩けない(間欠跛行)という症状が特徴です。腰椎MRIや脊髄造影検査で診断することができます。
 症状が軽度であれば、お薬や神経ブロック注射で症状が改善することもありますが、日常生活に支障が出てくる場合には脊柱管を広げる手術を行うことが多いです。

 

腰椎椎間板ヘルニア

 椎間板ヘルニアでは臀部~脚に痛みやしびれが出ることが特徴です。激しい腰痛の数日後に下肢痛が出現することもあり、働き盛りの若年~中年に多くみられます。
 背骨どうしをつないでクッションの役割をしている椎間板が変性し、その一部が出てきて神経を圧迫することで症状が出ます。
 診断には腰椎MRIが有効です。保存治療で症状が改善する場合が多いですが、痛みで動けない場合や筋力低下がある場合は内視鏡を用いた低侵襲ヘルニア摘出手術を行っています。

 

頚椎症性脊髄症

 四肢のしびれや痛み、手の使いにくさ、足のもつれ、排尿障害などが特徴です。頸椎の椎間板が変性して後方に飛び出すことで起こり、飛び出す場所により、脊髄圧迫の症状、神経根圧迫の症状、あるいは両方の症状が出現します。  症状と頚椎MRIで診断がつきます。お薬や神経ブロック、リハビリテーションなどを行いますが、それらの保存的治療で改善がなく、筋力低下や歩行障害、排尿障害を伴う場合は頚椎を後方から拡大する手術的治療を行います。

 

側彎症

 脊柱側弯症は背骨が徐々に曲がっていく疾患です。そのうちのほとんどが原因のはっきりしない特発性側弯症です。特発性側弯症は女児に多く、10歳くらいから曲がり始め、検診で発見される場合がほとんどです。診断は特徴的な身体所見とレントゲン検査で可能です。
 治療は、軽度の側弯症は定期的にレントゲン撮影を行い、弯曲が進行してきてないかを観察します。まだ成長途中で、ある程度弯曲が進行してきた場合は、装具で側弯の進行を抑える治療を行っています。装具治療を行っても側弯が進行する場合で高度の側彎がある場合には手術が必要です。また、側彎が高度な場合、成長期が終了しても平均して1年に1°進行すると言われていますので、ひきつづき経過観察が必要です。
 毎週金曜日の午後側弯症外来では、特発性側弯症を対象とした診察・治療を行っています。

 

【 脊椎手術について 】
 脊椎に対する外科治療は大きく分けて3種類あります。脊髄、神経を圧迫している椎間板、骨などを削って圧迫を減じる減圧術、変形、不安定性などにて脊柱としての支持構造が損なわれている場合に行われる固定術、病巣そのものを切除する摘出術です。それぞれの病変に応じて手術方法を選択、組み合わせて最良の外科治療を提供します。
 内視鏡を用いた筋肉・関節温存に配慮した手術も行っており、患者さんの体にできる限り負担が少なく安全で手術後の疼痛、運動障害などが最小限で済む低侵襲手術を心がけております。